第25話

「それで」


「生活指導の話に移るが……」


「書き置きの下の方に『ジョギングで帰ってきました』と書いてある」


「どおりで家に帰るなり過呼吸で死にそうだった訳だ」


「心配になったぞ」


「まあ、でも」


「それも私に誉めてもらうためって事かな?」


「……」


「そんなに真剣な目で見るな」


「本気だと思ってしまうだろうが」


「……」


「それと」


「机の上のこれは何だ」


ガサッ


「見たところ額につけるタイプのライトだ」


「……」


「そしてこれの横に耳かき棒があった」


「……」


「君……」


「まさかこれで耳かきをしろと?」


「昨日私が、暗いから無理と言ったから?」


「……」


「ふふふっ」


「どれだけ耳かきが好きなんだ!」


「仕方ないな」


「その熱意に免じて、やってやろう」


「……」


カチャカチャ


「よし」


「セット完了」


「ただなあ……」


「君を横向きにするのが大変なんだ」


「……」


「せーのっ……!」


「ふんっ!!」


グッ


「はっ!」


「ふぅ……」


「できた」


「昨日よりは簡単だったな」


「それじゃあライトをつけるか」


カチッ


「……」


「今まで……」


「薄暗い中だったから良かったが……」


「こうして面と向かっているのは……」


「なんだか恥ずかしいな……」


「君からしたら、明かりのある状態で私を見るのは初めてだしな……」


「どうだ……?」


「私はこんな見た目だ……」


「気に入ってもらえるだろうか?」


「あるいは君のイメージと違うか?」


「もしそうだとしたら、君の夢を壊してしまってすまないな」


「制服もこんな感じだ……」


「わりと可愛くて気に入っている」


「……」


「って、待てよ」


「よく考えたら君は私のパンツを見たよな」


「それはつまり、君は暗くても目が見えるって事だ」


「当然私の顔も見覚えがあるだろう」


「なのに私だけ恥ずかしがるのは不公平じゃないか?」


「……」


「こうなったら君を辱しめるしかないな」


「仕返しだ」


「悪く思うなよ」


「……」


「さあ、耳かきを始めようか」

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