第17話

「今日は新しい話をしよう」


「これまでの生活指導を覚えているかな」


「忘れ物をしない」


「帰ったら手を洗う」


「……」


「あれ?」


「まだ2つしかやってないのか?」


「思ったより少ないな……」


「まあいい」


「1つずつ確実にこなしていこう」


「今日の生活指導だが……」


「ずばり!」


「運動をしよう、だ!」


「……」


「ど、どうした!」


「なぜ目を細める!?」


「そんなに運動が嫌か!」


「って、おい!」


「目を閉じるな!」


「寝るなー!」


バンバンッ


「違う違う!」


「そんなに大変じゃないから!」


ベシベシッ


「あぁ、よかった……」


「話を聞いてくれるか」


「ゴホン」


「最近の君を見ていて思った」


「少し太ったな、と」


「最近は暑いからな」


「エアコンの効いた部屋でゴロゴロするのは当然だ」


「むしろ熱中症対策として素晴らしい」


「だが気付いているか?」


「コンビニに行く回数が減っていることに……」


「それだけじゃない」


「休みの日も家で過ごすことが多いだろう」


「すると当然、歩く回数が減る」


「日常生活における運動機会がいつの間にか失われているんだ」


「……」


「そこでだ」


「私は提案する」


「運動をしよう、と」


「……」


「分かっている」


「簡単な運動でないとな」


「暑いしやる気がでない」


「だから私からの提案は……」


「階段を使おう!」


「だ!」


「……」


「不満か……?」


「安心しろ」


「私は外に出れないからな」


「自己申告でいい」


「意識的に階段を使ってくれ」


「簡単だがそれはスゴいことなんだ」


「人は空を飛べない」


「でも階段なら高いところに行けるだろ?」


「中学生の時に習ったな」


「仕事の原理だ」


「同じ高さに行くなら、飛ぶのも階段で登るのも仕事量は一緒ということさ!」


「まあ、厳密には違うだろうけど……」


「とにかく!」


「階段を登るのはスゴいことなんだ」


「飛んでるのと同じくらい!」


「……」


「む」


「もうこんな時間か」


「今日は長居したな」


「そろそろ終わりにしよう」


「私から言いたいことは」


「階段を使おう」


「それだけだ」


「じゃあ、おやすみ」


「また明日、な」

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