第16話
「ふふん」
「やあ」
「寝苦しい夜が続くな」
「まあ、幽霊である私は寝ないんだが」
「……」
「それはそうと」
「君」
「これは何だ」
「この書き置きだよ」
ペラッ
「見たまえ」
「……」
「暗くて読めないか」
「それでも君が書いたものだから内容は分かるな」
「『今回はおでこなんですね。前は唇にキスしてくれたのに……』」
「と、ここには書かれている……」
「だ~か~ら~」
「前にキスなんかしてないって言っただろ!」
「そんなのは君の見た夢だ!妄想だ!」
「昨日のが私のファーストキスなんだよ!」
「それなのに君は、文句ばっかり付けやがって!」
「だいたい君は破廉恥なんだよ!」
「会って間もない相手にキスしろだなんて……」
「そのくせ君はこうやって近くで目を見るだけで恥ずかしがってさ!」
「ほら!」
「そうやってすぐ視線を逸らす!」
「本当になっさけないな、君は!」
「そもそも動けない状態で年下の女の子に好き放題されて恥ずかしくないのか?」
「こうやって鼻をつまんだり」
ムニッ
「……」
「耳を引っ張られたり」
ムニムニッ
「……」
「耳たぶ、柔らかいな……」
タプタプ
「……」
スゥー
「ふぅ」
「ふふっ」
「あははは」
「何だ今の反応!」
「ふふふっ」
「ちょっと息吹きかけたら……」
「ビクッてしたのに動けないって……!」
「んふふっ」
「ダメだ……!」
「我慢できないっ」
「あははははっ!」
ドンッ
「うわっ!ごめんなさい!」
「……」
「隣の人に怒られてしまった……」
「意外と壁が薄いんだなここは……」
「……」
「本題に入ろうか……」
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