第15話
「生活指導の話をしよう」
「改めて、昨日はすまなかった」
「君の行動を見ていないのは私の不手際だ」
「心から反省している」
「そこでだ」
「私は今日、ずっと君の帰りを待っていた」
「なかなかに暇だったが、首を長くして待っていたんだ」
「誉めてもいいぞ?」
「……」
「話に戻ろう」
「私は君の帰りを健気に待ち、そしてついに君の手洗いを見届けた」
「よくやったな」
「君は本当に素直で良い」
「言われたことを守れるというのは素晴らしいことだ」
「やって当たり前だと言う者もいるだろう」
「だがそれでも、今までやってこなかったことをやる、というのは大きな進歩だ」
「誉めてもバチは当たらないだろう」
「君は偉い」
「君を見ているとなんだか私も誇らしい気分になる」
「ありがとう……」
「こんなことを言われても君は困るだけか……」
「……」
「さて」
「それで、だ」
「……」
「約束があったな……」
「君がちゃんと手洗いをしたら」
「というやつだ」
「今日の君は手洗いもした」
「忘れ物もなかった」
「うん」
「ご褒美をもらう権利はあるだろう」
「だから」
「……」
「ふふん」
「こんなに近いのは久しぶりだな」
「……」
「それじゃ……」
「これがご褒美だ」
ワシャワシャ
「よーしよしよしよしよし」
「よーしよしよしよしよしよしよし」
「前に触ったときも思ったが、君の髪は思ったより柔らかいな」
「癖になる触り心地だ」
「撫でる側も気持ちがいいぞ」
「どうした」
「まさか君……」
「照れてるのか?」
「こんなことで恥ずかしがっててどうする」
「キスなんて要求したくせに……」
「……」
「そんな破廉恥にはこうだ!」
ワシャワシャワシャワシャ
「おらおら!」
「くらえ!」
「ふふふふっ」
「明日の朝は髪が大爆発だな」
「朝の手入れが大変だ」
「ふふふ」
「それじゃあ」
「おやすみ……」
チュッ
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