第8話

「ふふん」


「やあ」


「毎晩君とこうして顔を会わせるのも楽しいものだね」


「さて、書き置きを見たよ」


「『これ、貴方のですか』と書いてあった」


「それとテープで貼り付けられた髪の毛」


「ふむふむ」


「わかるよ」


「明らかに自分のものじゃない髪の毛が部屋に落ちていることは確かにある」


「でも冷静に考えてほしいな」


「幽霊の髪が落ちるわけないだろう」


「つまり勘違いだ」


「いや、根拠はないよ」


「ただ普通に考えればそうだろう」


「いいか?」


「部屋に知らない髪の毛が落ちていてもそれは君のものだ」


「だからジロジロ眺めたり触り心地を確かめるのはやめたまえ」


「見てて滑稽だった」


「というか、もし私の髪の毛だったとしたら君は変態じゃないか」


「もっとこう、君は慎ましさを持って生活したまえ」


「私はいつでも君を見ているんだから」


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