第9話
「さてと」
「本題に入ろうか」
「忘れ物は、もう大丈夫だな」
「確認をする習慣」
「それが大切だ」
「それさえあれば大体はなんとかなる」
「それでもたまに忘れるときもあるだろう」
「仕方のないことだ」
「誰にでもミスはある」
「だからこそ普段は忘れ物をしない、という実績が必要だ」
「日々精進してくれ」
「君ならできるさ」
「……」
「次に行こう」
「お待ちかねの生活指導の時間だ」
「今日のは簡単だから安心してくれ」
「今日の指導は」
「帰ってきたら手を洗う、だ」
「子供の頃はよく言われたものだろう」
「手洗いは病気の予防においてとても重要な行為だ」
「だか、人は年を重ねるにつれて免疫を得て、病気になりにくくなる」
「すると人は手洗いの大切さを見失いがちになってしまうんだ」
「特に一人暮らしだとね」
「自分の手が汚れていても関係ない」
「それで自分の部屋が汚れても問題ない」
「そう考えて生活をしているとだな」
「誰かが家に来たとき」
「誰かの家に行ったとき」
「あるいは、誰かと一緒に暮らしたときに苦労する」
「いつもの癖で手を洗わず過ごしてしまう」
「そうならないために、しっかりと手を洗おうじゃないか」
「……」
「どうかな?」
「この説明では君の心は動かないかな?」
「じゃあこう考えてくれたまえ」
「……」
「私もこの部屋に一緒にいるんだ」
「綺麗にしてくれないと、嫌だな……」
「……」
「なんだか恥ずかしいな……」
「今日の指導はこれで終わりだ!」
「もう寝ろ!」
「手はしっかり洗えよ!」
「どうしても忘れそうなら」
「ふふっ」
「ドアノブを思いっきり汚しておくといい」
「嫌でも手を洗いたくなる」
「それじゃ」
「また明日」
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