緊張しいの男

私は看護士に言った。

「次の患者さんは、とても緊張しいなんだ。

 何せ精神科に来る程の緊張しいだから、普通の対応ではいけない。

 緊張させないために、絶対に目を合わせちゃいけないよ。

 初対面相手だと特に緊張するんだ。」


「目を合わすだけでダメなんですか?」


「そうだ。この間も初対面の看護士と目があってな。あまりの緊張に失神してしまったんだ。」


「あらら、なるほど、分かりました。」




「次の方どうぞー」




挙動不審な男が入ってくる。


「あ、あ、あの、し、失礼します!」


「はい、じゃあおかけになってくださいねー。

 その後いかがですか。」


「はい!あ、あの・・・・・ハゥッ!?!?」


男は突然指をさして口をパクパクさせた。

そしてとうとう倒れてしまった。




男が指さした方に目をやると、

新調した扇風機が首を振ってこちらを見ていた。

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