銀の女神は踊り狂う

月 日向

第一章 銀の聖女は優雅に舞う

第1話 旅の始まり

とても暇していた。

何をしても面白くない。

だから、旅に出ることにした。

私の夫もどこかで出会えるように。でも、ちゃんとの記憶は消してある。だって、それを覚えてたらとても辛いから。

彼が気に病まないように。そういう処置をとった。

でも、私は記憶を消さないでこのまま世界巡り。

彼は私のことも忘れちゃったから、きっと会ってもわからないだろう。

それでもやっぱり楽しみだ。きっと、いろいろなものに出会えるだろう。


さあ、出発しよう。

新しい旅の始まりだ!









「よっ、と。さて、この世界はどんな感じかな?」


突然だけど、みなさんこんにちわ。私の名前は色葉輝夜。身長は175センチくらいの女だよ。

一応、女神。

暇だったから世界を巡ってるんだ〜。私の夫も巻き込んでね。

で、一応その世界に入ったらその世界の困りごとなどを解決したりしていかないと次の世界に行けない。まあ、困りごとと言っても大きいやつじゃないとダメ。

そんなちまちまやってられないし。それに、普通に小さかったら認知すらされてないかもしれないから。

あと、その世界で少しは称号をつけてもらわないといけない。

聖女とか、勇者とかみたいなわかりやすいやつで。

それらのルールを守れば、基本的に何してもオッケー。流石に全部ぶっ壊すのはダメって言われたけどね。


「ここは……神殿、かな?」


降りてみたところは神殿のようだった。

神殿というか、教会…という方が正しいかもしれない。

私は神様の像……の目の前に座り込んでいた。よくこの像を見てみると、見たことのある姿形をしていた。


「あ、これどっかの守護神じゃね?確か昔、月星の宮殿に通ってたやつ。一応あそこで働いてたんだっけ」


最近はあまり見かけなくなった神だったので、おそらく月星が引退した時に星をもらったとかだろうか。退職金のようなものか。

少しでもゆっくりと過ごせているのであればいいのだけれど。


「まあ、ここで立ち止まってても何もできないし……って、誰?」

「あ、貴方こそ誰なんですか?ここは許可ある者しか立ち入る事のできない場所のはずですが……」

「あ、じゃあ、君は神官か。よろしく。の名前はケイ。早速だけど、ここがどこか教えてくれる?」


まあ、情報収集は大事な事だしね。それに、ここが許可持ちじゃないと入れないところってことは、相当お偉い様じゃないかな?

なら、結構情報を持ってるはず。

念の為男に変化して聞く。女だからっていう理由でなんか理不尽なことされかけたら本性が出ちゃうし。


「は、はあ……。まあ、良いでしょう。ここで貴方と出会えたのも神のお導きということなのでしょうから。さあ、こちらへ」

「オッケ〜」

「………」

「失礼だなー。一応僕は神官なんだけど」


軽い返事は、あまり受けなかったらしい。

少し真顔になられて、ちょっと悲しかった。

ただ、こんなことをしている暇は、本当はない。何故ならば、この世界の困りごとが魔竜の復活……。つまり、世界を滅ぼす厄災のようなものの封印が解けてしまうということだ。

おそらく、人間では限界があったのだろう。封印までしかできなかった。

だからって上司の娘に頼んだりするー?まあ、いいけどさ。

なら、まずはこの世界に認知されることから始めなければいけない。

手っ取り早く聖女にでもなって仕舞えばいいか。


「それで、貴方はどこから来たのでしょうか。この世界の魔力の匂いじゃない」

「ああ、僕はこことは違う世界から来たみたい。その前後の記憶が曖昧なんだけど、多分神官だったはずだよ。元の世界では結構偉かったんだよ」

「ふむ、ここに来たより前の記憶が曖昧ということですね。まあ、一応保護はしましょうか?それとも、冒険者として生きることも可能ですが」

「ふぅん…それは面白そうだ。いいことを聞いた。ありがとう。この世界の神官さん。じゃあ、またね」

「ええ。またどこかでお会いしましょう」


そうして輝夜と神官は別れた。

あっけない別れだったが、まあいいだろう。


「あっ、そ〜だ。神官さん、名前教えてよ。僕は名乗ったけど君は名乗ってなかったから」

「それは……失礼しました。私の名前はルト、です」

「そっか。じゃあ」


そうして、私は教会の外に出た。



「まあ、一応聖女になる目星はついてるし。きっと明日行われる予言で私が探されるはず。私がこの世界を救う。それは正しいし、多分この世界の神様が言ってくれるはず」


だから、しばらくは冒険者としてのんびり活躍してまわればいい。

そう思って、私は冒険者ギルドへと足を運んだのであった。

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