墓参り

 

墓参り

 幼なじみの夏美と一緒に私は、15年前に亡くなった和哉の墓参りに来た。そして、二人でお墓の前で手を合わせた。


「和哉が亡くなってもう、15年か……。時が過ぎるのは早いね」


 私がそう言うと、夏美は感慨深そうに相槌を打った。


「うん。本当そうだね」


「それにしても、酷い事件だったよね。体をナイフで滅多刺しされたあげくに、燃やされるなんて……」


「うん。犯人は一体、誰だったんだろう?」


「……ねぇ、もう行ったかな?」


「多分、大丈夫じゃない?」


「じゃあ、もういいか」


「私たちなんとか15年逃げ切れたね」


「そうだね。マジでいつバレるんじゃないかってずっとヒヤヒヤしてた」


「でも、これで警察からマークされるのもおさらばだと思うと、清々しいね」


 私たちはそんな会話をしたあと、和哉の墓に彼が嫌いだったトマトジュースをぶっかけた。すると、夏美はそれを見て笑いながらこう言った。


「あははは、ウケる。まるで血みたい」

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墓参り   @hanashiro_himeka

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