第26話
俺は昨日の夜に見ていたエロゲの出てきたヒロインたちとイチャイチャする夢を見た。
そのおかげで今朝の目覚めが非常にいい。いつもなら二度寝を貪ろうとするところが、パッと起きることができた。
そのいい気分のまま妹の志野に「おはよう」と言おうとしたら……
「お兄ちゃん、サイテー」
というかなりきついことを言われた。志野は布団を体に巻き、部屋の隅で枕を手に持っている。私に近づかないでよ! と言いたげだ。
「おはよ、志野。よく眠れたか」
「話さないで、気持ち悪い」
気持ち悪いと言われて悦ぶ人間ではないため、かなり心にくる。冗談でなく、本気の言い方だ。志野の言葉には棘を感じる。そのため、余計に心にくる。
しかし、俺には気持ち悪いと言われることをした覚えはない。とりあえず、志野の機嫌をどうとろうかと考え始めると、志野がまだ棘のある言葉で聞いてきた。
「お兄ちゃん、どんな夢を見てたの」
夢というワードのところで俺の背中から嫌な汗が大量に出てきた。俺はとりあえず一つの確認を取る。
「し、志野さん。もしかして寝言言ってました?」
「……」
ジト目で睨んでくる。多分、それが答えなんだろう。
さて、どうしたものか。予測されるのは、ただ一つ。
やばい発言をしてしまった
ということ。
俺が夢でみていた昨日の夜のエロゲのヒロインたちとイチャイチャ。それは昨日見た没シナリオがかなり影響している。つまり、かなりR-18寄り、いや確実にR-18のセリフ、行動が出ている。
さて、どうしろと、どうしろと。夢の世界で俺がオレンジ髪の子とここでは言ってはバンされてしまうことをしたのは覚えている。
「ごめんな、志野。不快な思いにさせてしまって」
「……うん」
志野はコクリとうなずいたが、布団から出る気配はない。これ、どうしよ。瑞葉さんが来るまでにはどうにかしたいのだが。
コンコンとノックが鳴らされた。この朝の時間にノックしてくるのはあの
「お~い、慎司くん。朝ごはんできたよ」
ギロリと志野に見られる。よからぬ想像をしているのだと思う。
「志野ちゃんも一緒に朝ごはん食べよ」
外から聞こえてくる瑞葉さんの声が部屋の中に響く。待たせてはいけない。
「ほら、いくぞ」
俺はドアの施錠を開けた。
「おはよう、慎司くん。あれ、志野ちゃんは?」
「おはようございます、瑞葉さん」
奥から志野がちょっと慌てた様子で走ってくる。さっきまでの空気を志野は感じさせない。どちらかというと爽やかな感じがする。
「おはよう、志野ちゃん。よく眠れたかな?」
ニヤニヤとしながら俺の方を見ながら瑞葉さんは志野に聞いてきた。
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