第2話

 俺は天に連絡すると、「八時頃に動きやすいかっこうで私の家に集合ね」という返信が来たので、朝ごはんを食べたあとに再集合して天の家に行くことにした。


「あ、さとる。じゃあ、一緒にいこ」


 俺は明日香と合流して、天の家の方角に向かって歩きだした。天とは中学は違う。しかし、それはぎりぎり校区が違うためであって、実際はけっこう家が近かったりする。


「天ちゃん、今日は何するんだろう。動きやすい格好でって言われたからこの格好で来たんだけど……」


 明日香は学校のジャージだった。


「まぁ、俺たちに動きやすい格好って言ったら、これしかないだろ」


 そう、俺も学校のジャージだった。ただでさえ、服のバリエーションが少ないの上に、普段から学校の体育の授業でしか運動しないのに、ジャージがあるわけがない。


「あ、天ちゃん!」


「おはよう、河崎くん、明日香ちゃん」


 すぐに天の家の前に到着した。

 天はユ〇クロで売っていそうな、オシャレかつ動きやすい服だった。そして、天は俺と明日香の格好を見て、うそ、と口を小さく動かした。


「天ちゃん、今日はなにして遊ぶの?動きやすい格好でって、言われたからこの格好で来たんだけど」


 普段、あまり服装には気を遣っていない明日香が少しばつの悪そうな顔で、天に訊く。さすがに学校のジャージでは恥ずかしいみたいだ。もちろん俺も恥ずかしい。


「大丈夫だと思う、よ。パット見で、学校のジャージだって分からないと思うし」


「うん、そうだよね。そうだよね」


 近い近い、と天は明日香がグイっと来たのを困ったような顔で、なんとかしようとしていた。


「今日は、みんなで縄跳びをしようかなって思ったんだけど。みんな縄跳びはできる?」


「「縄跳び?」」


 俺は縄跳びをよくしていた小学生のころを思い出した。俺はけっこうクラスでは縄跳びはできるほうで、二重跳びをばんばんしていた記憶がある。


「まぁ、俺はできると思うけど。明日香は」


「わたしもできるよ。じゃあ、さとると勝負だね」


 俺たちは天の家の近くの公園に移動した。縄は一本しかなかったため、交代で縄跳びをすることとなった。

 トップバッターは天だ。天はできるかなー、と笑いながらも、二重跳びや二重はやぶさを普通にしていた。

 二番手は明日香で、明日香は天よりもきれいに二重跳びと二重はやぶさをしていた。

 やばい、これは俺が負けるかもしれない、と思いながら、俺は縄を明日香から受け取った。持ち手から少し重めの感覚が伝わってくる。

 俺は意識を集中させて跳んだ……。


「さとる、ぜんぜん跳べなかったね」


「なぁ、言わないでくれ。そっとしておいてくれ……」


 俺はせいだいに縄に引っかかって、こけた。少しヒザが痛い。女子の前でせいだいに縄跳びに引っかかってこけた俺のメンタルは、オワッテいた。


「じゃあ、今日はこれで」


「お大事に~」


 俺は明日香を家まで送り、俺は帰路についたのだった。

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