第4話 柏木誠也は大忙し

「誠也君、ちょっといい?」

 図書委員の活動が終わりの時間に差し掛かった際、藤本先輩から声がかかった。

 これまで特にと言って何かしてほしいとか言われてなくて不安になっていたところだ。まさかもうやめてほしいとか言われないだろうか。

「なんでしょう?」

 平静を装って言う。

 だが本音としてはこうなってほしいとか、そういう話であってほしい。

「今度の土曜日とか、午後時間空いてる?」

 え、何?

「はい、、空いてます」

 というか何かあっても空ける。

 藤本先輩からのお誘いだぞ。あ、お誘いと限った話ではない。違う何かかもしれない。油断するな。

「この間会った亜香里と一緒に遊園地とかどう? お互いのこと知らないけど、いきなり二人だけで会うのはなかなか気が引けて」

「全然いいです!」

 当然じゃないですか。

 亜香里先輩ありがとう!

 心の中でガッツポーズをする。

「それじゃあ後で時間とかラインで連絡するね」

 こういう時ラインでつながっててマジで嬉しい。

「よろしくお願いします」


「あ、誠也君こっち」

 遊園地の入場口で藤本先輩から小さく手を振られる。

 何これもうデートっぽいじゃん最高。

「お待たせしました」

「大丈夫だよ、本読んでたから」

 持っていた本を見せる。古典系かな。

 それにしても藤本先輩の私服姿は初めてだ。やっぱりきれいだ、尊いってこのことだわ、マジ。

 亜香里先輩はまだ来ていないようだ。

「お待たせー」

 ほどなく亜香里先輩も到着する。

 亜香里先輩と二人で藤本先輩の姿を褒めると恥ずかしがってる。尊くて鼻血出そう。

 入場するとまずマップを確認する。

 高校生にもなってメリーゴーランドには乗る気がしないんだけど、二人はどうなんだろう? 亜香里先輩はそんな雰囲気ないよなぁ、

「やっぱり遊園地に来たら絶叫系じゃない?」

 あ、やっぱりそうなるか。

 亜香里先輩はエスコートするふりをして、上手に俺と藤本先輩が隣になるようにしてくれてる。

「きゃーーーー」

 隣の藤本先輩と一緒にいることに嬉しさを覚える。

ただそれも何度もやればバレバレになってしまう。

 そんな時ちょうどよく亜香里先輩がお腹がすいたと言う。

「俺、荷物持ちしますよ」

 ついでにあまり隣にしないように言わないと。

 めっちゃ嬉しいんだけどね。

 この後の予定を確認して、食事を済ませる。

 藤本先輩が軽く乗り物酔いをしたので軽く休憩を取り、お化け屋敷に入る。

 入る前に藤本先輩から怖くないと聞いてたけど楽しそうに入ってるな。

「キャーーーー!」

 って亜香里先輩⁉

 入るときには全然大丈夫そうにしてたのに何この変わり様!

「あああ、ゴメン」

 腰が引けてますよ。

 大丈夫かなぁ、とちょっと近づくと

「ゴォアアアアア」

「イヤーーーーー」

 がっしりと腕をホールドされてしまった。

 っていうか、胸、胸にめっちゃ腕が食いこんでるんですけど!

 やばい健全な男子高校生ならこれはヤバいよ、美乃里先輩はスレンダーでそんなになさそうだけど亜香里先輩のは気づいてなかったけどすごい。

 めっちゃ赤面してる俺に、亜香里先輩は

「ごめん、出るまでこのままでいさせて」

 上目づかいで言われてしまった。なんだこれ、なんかかわいい。尊さじゃなくて可愛い。今の煩悩も抑えてしまえそうなくらい。これがギャップって奴だろうか。

 その後もしがみつく亜香里先輩を支えながら出口へと到達する。

「亜香里先輩、出口ですよ」

 涙目の亜香里先輩は心配になるほどかわいい。

 少し前で到着していた藤本先輩が、こちらを凝視して聞く。

「そろそろ腕離したら?」

 それを聞いた亜香里先輩はバッと離れうずくまってしまった。

「俺、飲み物買ってきますよ」

 なんだか休憩の多いお出かけになってしまったなぁ。これでよかったのだろうか。

 スポーツ飲料を勢いよく飲んだ亜香里先輩は少し元気を取り戻したようだ。

「ラストは観覧車ですか」

 観覧車には俺と向かい合わせで女子二人が並んでいる。俺と藤本先輩が並ばないのはわざとらしすぎるしそこまで親密になってないからだ。

 話題はお化け屋敷以外のことで盛り上がった。

 観覧車は頂点を過ぎ、残り半分に入ったところで

 ガッコン!

「うわっ」

 大きく揺れただけで停止はしなかったが、俺が亜香里先輩に壁ドンをする形になってしまった。

 亜香里先輩は顔を真っ赤にして、俺も突然のことで固まってしまった。

「大丈夫ですか?」

 平静を保ちつつ尋ねると、亜香里先輩は恥ずかしそうに

「あ、うん。……大丈夫だから」

 可愛い。なんで今までこんな可愛さを出していなかったのか疑問に思うくらいだ。

 でもいつまでもこの体制ではいられない。藤本先輩に誤解されてしまう!

 態勢を戻してまた今日を振り返る。迷路で迷子になったり、絶叫系で楽しんだり。なんていうか、藤本先輩以上に亜香里先輩のことを知れた一日になっちゃったけど、こうなっちゃうこともあるってことだよな。

 でも、藤本先輩がこういう経験はなかなかないから楽しめたと言ってくれて、本当に良かった。亜香里先輩様様だ。今度会ったらお礼言おう。


「おはようございます!」

 元気に挨拶して新聞を渡す。

「お、おはよう」

 亜香里先輩はまだ昨日の恥ずかしかったことを引きづっているのか顔を赤くしている。

「あの、昨日はありがとうございました!」

「いや、なんていうか全然役に立ててなかったんじゃない? お化け屋敷は二人がくっつくかなって思ってたのにさ」

 あぁ、そういうことか。

「いえ、トラブルはつきものです。それに、あ、いや何でもないです」

 胸の感触とギャップにやられたとはさすがに言えないだろう。

「とりあえず、また何かあったらよろしくお願いします」

「うん」

 別れようとした時、亜香里先輩から呼び止められる。

「今回のことは他言禁止。私のこともだけど、美乃里はモテるから。そういう話はしない方がいいよ」

「わかりました」

「あと」

 まだ何か口止めされることが?

 自転車にまたがったまま聞く。

「私は名前呼びなのに美乃里は名字呼びなのは変えたほうがいいかもね。美乃里に話してみたら?」

 藤本先輩を名前呼び! ハードル高そうだけど、何も進展していない今はそれもいいかもしれない。

「そうですね、挑戦してみます! アドバイスありがとうございます!」

 そう言って配達に戻るが、そのうちいつも通りに亜香里先輩に追い越されてしまった。バイクの免許取ったら追い越させないぞ。


 暑い。

 暦の上では秋になっているのに暑い。プールの授業だってもうない。あれはあれで全身運動だから後がつらいけど。

 午後の授業にだるくなっていると、運よく当てられることもなくチャイムが鳴る。

「次はLHRか」

 議題はすでに分かっている、文化祭の出し物について。運動部については特にクラスの出し物に力を注ぐが、文化部の場合は部活に力を注ぐ。


委員会に所属している俺の場合は文化部同様に委員会活動がある。

図書委員が何するんだよって思うかもしれないけど、案外役に立つことをする。

絵本の読み聞かせだ。生徒の成長をきちんと見たい小さな子ども連れの親にとってこれ以上ない託児所になる。机も少しずらし、遊べるスペースも作る。

なのでクラスの出し物についてより委員会のほうに頭が行ってるのだが、とりあえず議題には参加する。

「何かやりたいものは?」

クラス委員が中心となって出し物について挙手がある。

 ちなみに体育館のステージは文化部でいっぱいだから劇なんてのは難しい。

 お化け屋敷、模擬店、メイド喫茶etc……

 多数決にてお好み焼き屋になった。お化け屋敷やったら絶対亜香里先輩は来ないだろうな。

 心の中で苦笑し、委員会に顔を出す。

「お疲れ様でーす!」

 元気よく図書室に入る。委員会でも時間当番を決めるために今日は全員が集まる。

「何をやるかは以前説明したとおり、絵本の読み聞かせ。子どもさんのお世話もあるだろうから、五人くらいずつで割り振ります」

 紙のくじを入れた箱を持った委員長がみんなに引かせてくる。神様、どうか藤本先輩と組ませてください!

「藤本先輩、何時からですか?」

 自分のを見る前に聞いてしまった。

 紙を開いた藤本先輩が見せてくれる。

「十時から十二時だね。誠也君は?」

 おそるおそる紙を開く。

 神はいた。

「俺もです!」

 全俺が泣いた。

「一緒だね。よろしく」

「はい!」

 他のメンバーのこともすっかり忘れていたが、上手くばらけて三年生もいてくれる。

「何か必要なものはありますか?」

 絵本なら蔵書にあるが、それ以外に必要なものがあるのだろうか?

「軽く装飾したり、倉庫から遊具借りてくるくらいだね」

 装飾は近くの文房具屋で折り紙などを購入して作成する。

「準備する時間も手間もそんなにかからないから、のんびり行きましょう」

 委員長ってのんびり屋さんなのかな。のほほんとした顔で言ってるけど、大丈夫なのかな。

「藤本先輩、大丈夫なんですか?」

 俺の言いたいことは伝わってくれたようで、すぐに答えてくれる。

「折り紙とかは先生が買ってきてくれるし、遊具も前日くらいで大丈夫だから問題ないよ」

 さすがに前年度やってた人はわかってるんだな。

 同じような話が近くでも聞こえた。

「時間の都合が悪いとかあったら、他のメンバーと調整してね」

 今日の当番を残し、解散する。

 俺も帰ろうかと思ったところで、亜香里先輩の言葉が思い浮かんだ。なんて言って名前呼びに変えたらいいかな。

「誠也君」

 そんなことを思っていたら藤本先輩から声がかかった。

「どうしました、藤本先輩?」

ちょっと困ったような顔をして、藤本先輩が答えてくれる。

「その、『藤本先輩』って呼び方変えてみない?」

「えっ?」

 俺の考えてたことを見透かしていたのか、それとも亜香里先輩が何か言っていたのか。

「誠也君が積極的に話しかけてくれたりしてるのは素直に嬉しいんだけど、その割に苗字呼びだとなんだか身構えちゃって」

 親しくなりたいのに距離を置いてるって感じだったから、身構えられてたのか。

 やっぱりここは名前呼びに挑戦するところだ。

「じゃあ、その、美乃里先輩」

「うん」

 笑顔で応えてくれた! 嬉しい、恥ずかしい!

 すごい、なんか階段を上った感じがするぞ、レベルが上がったんじゃないか⁉

「なかなかまだ、その恥ずかしいですけど頑張ります!」

「頑張らなくていいよ、力抜いていこうよ」

 美乃里先輩優しい。感動だわ。

「それじゃあ、これからもよろしくね」

「はい、それじゃあまた!」

 素晴らしい一日だった!


 折り紙を使った装飾を上級生から教えてもらい(いつでも美乃里先輩に付きまとってるわけじゃないぞ?)、入り口と読み聞かせスペースを飾る。

「遊具はここでいいですか?」

 積み木やおままごとセットなどを置いておく。

「うん」

 文化祭前日の今日はクラスの手伝いが必要な人以外が来ている。

 それくらい人が少なくても準備が成り立ってしまうのでさぼる人もいなくはない。

「あと、特に終わった後が大変だよ」

「なんでですか?」

 装飾の解体と遊具の返却以外に何かあるだろうか?

「子供たちが読み散らかした本を戻すのが何気に大変なんだよ」

 なるほどそうか。

 子どもたちは興味を失うとすぐに離れてしまいがちになったりする。

「時間に余裕があるときには戻しておいた方がいいよ」

「わかりました」

「あと」

 他に何かあるのか。

「担当時間以外に何するかは自由だけど、誰か気になる人がいるなら早めに言っておいた方がいいよ?」

 三年生に言われドキッとした。先輩分かってて言ってますか? そりゃよく美乃里先輩に話しかけてますけど!

 でも、担当時間も一緒だし、誘ってみるのもいいかもしれない。

「まぁ、参考にさせていただきます」

 努めて平静を装って答えた。

 前日準備が終わり、解散する。

「美乃里先輩」

「どうしたの?」

 美乃里先輩は名前呼びに緊張することなく反応してくれる。

 やはりこの方がいいんだな。

「当日担当の時間終わったら、何か予定とかありますか?」

「特にないけど、ご飯食べて、お化け屋敷行くくらいかな」

 やっぱりお化け屋敷は行くんだ。

「良ければなんですけど、一緒に回りませんか?」

 二人きりで! やべぇ! 大丈夫かな、警戒されないかな!

 美乃里先輩はちょっとだけ考えてニッコリ答えてくれた。

「いいよ」

 なんと素晴らしい神がいるのか……!

「じゃあ明日担当が終わったらよろしくお願いします!」

「そんな固く考えなくていいから。楽しもう?」

「はい!」


 図書室は思っていたよりずっと賑わっていた。

『図書室では静かに』という張り紙は隠されて、子どもたちがはしゃいでいたり本を読んでいたりする。

「じゃあ今度はどの本を読んであげようか」

 そういう美乃里先輩のもとには子どもたちが集まっている。

 優しいお母さんタイプにみんな集まるよね、分かる。

 俺は本を読んだり遊び相手になったり、割と何でもこなしているが、若いとはいえ子どもたちのような無尽蔵な体力には負ける。

 中には疲れてしまったのか寝ている子もいたので、ブランケットをかけてあげる。

「お兄ちゃんこの本読んで」

「はいはい」

 図書室がこんなに忙しいのって初めてじゃないだろうか。きっと年間通して一番忙しいだろうな。

「すいませーん、迎えに来ましたー」

 預かっていた子どもさんを連れて行き、親御さんに引き渡す。

「ふぅ」

 案外時間が経っていた。

「誠也君、キリのいいところで終わらせていいよ」

 上級生が来てくれた。俺はチラリと美乃里先輩に目くばせすると、図書室の外に出て待つ。

「じゃあ次の本からはこのお兄さんが読んでくれるからねー」

 三年生に引き継ぐと、若干ブーイングが起こる。人気だなぁ、美乃里先輩。好きな相手が人気あるとなんだか嫉妬のような、でもほほえましいような気持ちになる。

「おまたせ。行こうか」

「はい!」

 楽しい一日の始まりだ!

「ママー! どこーーー!」

 叫びながら泣いてる女の子が廊下の先ににいた。

 見過ごすことはできないよな。

 美乃里先輩と二人で女の子に話しかける。

「こんにちは。お母さんとはぐれちゃったの?」

「ぅん」

 美乃里先輩は持っていたティッシュで鼻をかんであげながら話を聞く。

 手前の教室の展示を見ていたらいつの間にかいなくなっていたらしい。

「ちょっとこの辺探してみよっか」

「君、お名前は?」

「早霧。高松早霧」

「早霧ちゃんね。はぐれないように手をつないでいこうか」

「うん」

 美乃里先輩と手をつなぎ、見失った手前の教室、次の教室、廊下を行き来する。

「いない」

 早霧ちゃんが泣きだしそうになるのをこらえている。

「我慢して偉いね。でも大変な時は泣いてもいいんだからね」

「いいの?」

「うん。ちゃんと涙吹いてあげるから」

 声は抑えてるが、泣き出した早霧ちゃんの涙を拭いてあげる。

「放送室で呼び出してもらいましょう」

「そうだね」

 二階の放送室に行き、呼び出しをしてもらう。

 その間、俺たちは図書室で預かることにした。

「ごめんね、回る時間なくて」

「いいんですよ。親御さん見つけることのほうが大事です」

 早霧ちゃんは美乃里先輩の手をつないでいたが、もう片方の手で俺の手を握って言った。

「お兄ちゃんたち、付き合ってるの?」

「えぇ⁉」

「ちょっ!」

 そうだったらいいな!

 っていうかそう見えたのだったら嬉しい。心なしか美乃里先輩の頬が赤くなってるようにも見える。

 返答に困っていると、美乃里先輩が優しく言った。

「お姉ちゃんたちはね、友達なんだよ」

 デスヨネー。

 いや、友達と言われるだけまだましだ!

 先輩後輩だと言われたら知り合い程度のことだしな! めげない!

「付き合わないの?」

 なおも追撃する早霧ちゃん。傷をえぐらないでくれ。

「そうだなぁ。好きになるって分からないことが多いの。だから付き合うかもしれないし、付き合わないかもしれない」

 よくわかんない、と早霧ちゃんは不服そうだったが、美乃里先輩はそうだねと言って頭を撫でる。

「早霧ちゃんもいつか分かるときが来ると思うよ」

 きっと美乃里先輩の中でも今はわからないんだろうな。

 そうして図書室に着いた。


「すみませんでした!」

 ぺこぺこと謝るご両親に、こちらに向けて大きく手を振っていく早霧ちゃん。

「もうはぐれないように手をつないでいくんだよ」

「はーい」

 もうあまり回る時間はない。

「お腹減りましたね」

「そうだね、ご飯食べずにあの子の相手もしてたし。どこかでまだやってるかな」

 模擬店のリストを見て回る。

 中には美味しかったのかもう終了しているクラスもあった。

 残っていた自分のクラスの模擬店に入る。

「お好み焼き二つお願いします」

「はーい」

 さほど待つこともなく、焼き立てのお好み焼きをもらう。

「そっちにいるのは先輩?」

 クラスの女子から聞かれる。

「そう、委員会のね」

「へー、そう、ふーん」

 気のない返事だなぁ。よくわかんないけど移動するか。

「グラウンド側のベンチ行きましょうか」

 グラウンドでは少し図書室にいるよりも大きい子どもたちが遊んでいる。

 それを見ている親御さんたちが階段やベンチで見ている状態だ。

 早速お好み焼きを食べる。

「いただきます」

 少々焦げが強い部分もあったが、これも素人ならではだ。味の一つになる。

「こっちちょっと生焼けのところあるよー」

 アハハと笑ってみせる美乃里先輩は本当に楽しそうだ。

 時間は少なかったけど、こうやって過ごすことができて幸せだなぁ。

 チャイムが鳴る。時計を見るともうそろそろ文化祭も終了の時刻だ。

「早いなぁ」

「ここは後夜祭とかもないんでしたよね」

「うん。昔飲酒があったらしくて」

 はめ外しすぎた人がいたってわけか。それがなければもう少し美乃里先輩といられたのに!

 しょうがないのでお好み焼きの空パックを捨てて図書室へと戻る。

「時間は短かったけど、今日は楽しかったよ」

「美乃里先輩にそう言ってもらえたならよかったです。また来年も一緒に回れるように頑張ります!」

 頑張りすぎなくていいよぉ、とちょっと呆れ顔だった。

「誠也君はもうちょっと力を抜いたほうがいいかもね」

 いつも気合い入れまくりだからなぁ。

 これからはちょっと気を付けてみよう。

 二人で図書室に向かう時間は、少し穏やかに感じた。

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