第3話 辺見亜香里は恋をする
私こと辺見亜香里はスポーツ推薦で高校に入学した。
元々犬の散歩で走っていたのだけだったのに、走ることに楽しさを覚えた。そこにたまたま結果がついてきて、小学校の運動会から中学校の陸上部、そこで結果を残すまでになってしまったのは自分でも驚いた。
高校にスポーツ推薦で入学したのは、第一に私はあまり勉強が得意ではない。文系理系とか関係なく苦手。得意なのは体育くらい。
そんな私は高校に入ってからも走ってばかり。推薦なのだから当然なのだけど、勉強をしてないわけじゃなくてもなかなか結果が出てこない。
でも二年生から全教科で赤点を免れるようになれたのは私の前の席、藤本美乃里のおかげだと思う。
眼鏡をかけた綺麗なストレートヘアー。めっちゃ文系! というのが私の第一印象。私は別に人見知りをしないので軽くあいさつしたが、彼女は少し控えめだった。目を合わせはするのだがちょっと伏し目がち。
他の友人からモテまくってからこうなったというのは後々の話だったが、私は特に気にしなかった。
「ね、藤本。この公式分からないんだけど、教えて?」
「藤本―、一緒にご飯食べない?」
「美乃里様~、テストの範囲で教えてほしいことあるんだけど!」
最初はちょっと教えてもらうだけだったのだが、彼女はそんな私をお荷物にせず優しく笑って教えてくれた。そりゃあモテるわけだよ。
一学期のテストが終わった後、珍しく美乃里がため息をついて椅子に腰かけた。
「どしたん?」
紙パックのジュースを口に聞いてみる。
「告られたー」
驚くほどのことではなかった。だって才色兼備文武両道? スポーツは得意としてはいなかったが大抵のことはできる子の美少女をほおっておく男子はそんなにいないだろう。
そしてそれをことごとく振っているのも聞いている。
「で?」
話を促す。
美乃里はこっちを向いて頬杖を突く。
「断ったんだけどね、諦めないって言われたの」
えーー、と渋い顔になる。
「それはちょっとやだね。どんな相手?」
聞くところによると図書委員の後輩らしい。同じ委員会なら断っても今後付き合いはある。うわー、やりづらそ。
「そんで?」
自分にはそういった経験はない分興味がわく。
「私の好む男になるって。何かないか聞かれたけど、突然言われてもわかんないし」
そうだなぁ。こんなにきれいな女子相手にするんだからそれなりにならないとって気持ちはわかる。
「どう答えたの?」
「とりあえず外見にこだわらないことと、まずは図書委員の仕事を覚えてからってちょっと先延ばし気味にしたの」
と言っても「もうほとんど教えたからどうしたらいいものか」と悩んでいる。
私にはそういうの無いからなぁ、と首をひねる。
「とりあえず一緒に話をしてみて様子見たら?」
うーん、と唸られた。あれ? この選択はミス?
「一緒に作業をしてるとね、本のこと話すこと多いんだけど、結構趣味が合って色々話しちゃうんだよ」
あ、話はしてみたのか。でも話が合うなら次は……。
「一緒に出掛けてみたら?」
「そんなのまだ早くない⁉」
美乃里は手をブンブン振って否定する。あぁ、この子も恋愛未経験なんだなってわかる。人のこと言えないけど。
だとすれば何かあるだろうか。
「うーん、すぐには出てこないね」
私も一旦はお手上げだ。
「そうだよね。私ももう少し考えてみる」
そのまま夏休みに突入する。
私は荒天でなければ毎朝のランニングは欠かさない。
部活などの競技として走るときは髪を一つにまとめているが、関係ない時にはお気に入りのツインテールにしている。
高校生になってツインテールは、と思われることもあるが、友達にはなかなかに好評だ。男子にはわからないけど気にしてない。
「いってきまーす」
朝五時。玄関を開けるとそこには私より結構背の高い男子が現れた。
「あ、おはようございます」
男子は新聞を渡してきた。
「え、おはよう。ご苦労様だね」
そう言って受け取った。今までも新聞配達の人に会うことはあっても、こんな若い人は初めてだった。
彼はすぐに自転車にまたがって次の配達先へ向かう。
なんとなく、追い越されたような気がして自転車を追いかける。
自転車は所々で止まって配達をするので案外早く追い越した。
(ま、そりゃそっか)
そのまま走り去っていく。
そうやってこの男子との挨拶が日常と化していた。
夏休みも終盤戦を迎える。
私は後回しにしていた読書感想文をやるため、図書室に本を借りに来ていた、
そこで彼とばったり出会う。
「あ、すみません」
制服姿にカバンを背負ってる。勉強しに来た生徒か図書委員のどちらかだろう。
「あれ?」
この顔見たことある。新聞配達の子じゃん。
「もしかして図書委員?」
一瞬美乃里の言ってた後輩というのが気になって聞いてみる。
「はい、そうです」
その割には早く帰るんだな。
「でも、今日は勉強しに来てました」
なるほどねー。ゆったりとした感じ、これはきっと宿題終わってる人だな。
美乃里の言ってた後輩君かはわからないけど、図書委員ならちょうどいい。
「何か読書感想文の書きやすそうな本とかってない?」
ライトノベルとか勧められるかなぁ、と思ったけど普通の書籍だった。
「成沢圭太の『グラデーション』とか読みごたえがあって面白いですけど」
ふーん、とあらすじを読んでみる。
「これって難しくない?」
苦笑しつつ応えてくれる。
「ブラック企業のこととか書いてますけど、面白おかしく描いてるので多分大丈夫かと」
じゃあ借りてみるか、とこの男子にお礼を言ってカウンターへ向かう。
借りてからどこのクラスの誰なのか聞けばよかったと思った。
まぁ、返すときに会えれば聞いてみよう。
二学期に入る。
無事読書感想文は終えることができた。彼のおかげで感想も書きやすかった。帰りに図書室によろう。
「あれ、今日は美乃里当番だったんだ」
図書室に入ると美乃里がカウンターで作業をしていた。私同様に夏休み終了間際に借りた本たちの返却で忙しそうだなぁ。
「そうそう、私が本を借りるときにね、優しい男子が丁寧に本を教えてくれたんだよ」
そう言って本を返却する。
「へぇ~、亜香里は誰かいい人見つけたの?」
「違う違う! ただ優しかったなってだけ」
そんな時、図書室の扉が開かれる。
「お疲れ様で、す」
あ、あの図書委員の男子だ。驚いたのは何で?
「この間はありがとうね」
「あ、いえいえ」
何も緊張することないのに。ん? 緊張というより驚いてる?
「亜香里の知り合いだったの?」
そこに入ってきたのは美乃里だった。
図書委員だしここは繋がっててもおかしくない。
「まあ、知り合いと言えば知り合いかな」
男子も同じように答える。
「何回か会ってますもんね」
新聞配達の時にね。
そうだ、本のお礼を言っておかなくちゃ。
「この本すごく良かったよ。読みやすくて助かった」
男子も笑顔で応える。
「お役に立てたのならよかったです」
返却を完了させた私は部活へと戻る。
「それじゃあまたねー」
翌日。
「もしかして彼が例の後輩?」
ほとんどあてずっぽうで聞いてみる。
「そう」
体ごとこちらに向けて美乃里は答える。
「いい子じゃん。名前はなんていうの?」
そこで美乃里は驚いた。なんか驚くようなこと言ったっけ?
「名前知らなかったんだ?」
そんな名前聞くような付き合いしてなかったもんなぁ。
今度から挨拶するときに名前呼んでみようかな、と思う。
「柏木誠也君。優しくて元気のある子だよ」
その言葉には悪いとこはない、という感心と否定できないことへの諦めが含まれていた。
「いいじゃん」
私は率直にいう。変な裏表のあるような子にも見えなかったし、付き合ってみるのもありだと思うんだけどなぁ。
「じゃあ逆に亜香里が告白されてたら付き合う?」
考えもしなかった。
今は走ることが中心だからなぁ。うーん、
「その場合によるかもねー」
諦めない、という言葉も頭の中には残ってる。彼の場合は悪い方にはならないんだろうな。だから美乃里がすっぱり切れないのかもしれない。
「じゃあさ、今度三人で出かけない?」
「三人で?」
突然の誘いに美乃里は戸惑っている。
「三人なら安全だし、お互いのことを知るいい機会にもなるんじゃない?」
「……うん、そうだね」
少し悩んだが、OKしてくれた。
はて? 私は何着ていこう?
言ったはいいものの私はいつもジャージだった。美乃里のお供とは言えあまりに似つかわしくない格好は良くない。
「ねぇ、私何着たらいい?」
「え?」
美乃里は目を皿のようにして驚いた。それもそっか。
「えーと、デニムとかある?」
「ある」
「シャツは?」
「ある」
あ、まぁとりあえずは大丈夫か。
しかし美乃里はそれで終わらなかった。
「ちなみにスカートとかは?」
「制服しかないよ?」
顔をしかめられた。え、そんなに良くなかった?
「似合いそうなのに」
絶対に合わない。絶対に似合わないよ。大事なことだから二回言うよ?
「私は知ることにしか興味なかったから。それに、今回のは美乃里のことでしょ?」
むぅ、と渋っていたがそうだね、と納得してくれた。
スカートなんて、美乃里のようにきれいな子とか、可愛い子が着るものだよ。
「じゃあ日にちは、そうだなぁ。なるべく午後にしてもらえると部活的に助かる」
「うん、わかった。あとで誠也君にも連絡するね」
舞台は整った、かな?
「おはよう、美乃里から連絡はきた?」
いつもランニングをする早朝。
いつも通り誠也君が新聞配達に来たので聞いてみる。
「おはようございます! 藤本先輩から話は聞いてます。この度はありがとうございます!」
深々と礼をする誠也君。うーん、体育会系にも見えるんだけど、文系なんだよねー。
「それで、あの、藤本先輩から名前はうかがってましたけど、自己紹介がまだでしたよね」
お互い名前は知ってるけどきちんと自己紹介した方がいいか。
「私は辺見亜香里。美乃里と同じD組だよ」
「俺、自分は柏木誠也です。一年C組です」
くすっと笑ってしまった。
「言い直さなくていいよ。もっとフランクに行こう」
「あ、はい。ありがとうございます!」
本当元気いいなぁ。
「誠也君は運動部に入らなかったの?」
「もともと本を読むのが好きなんで」
成程、シンプルイズベスト。
「ま、私も同じように走るのが好きだから陸上部に入ってるんだけどね。誠也君みたいな元気のいい子がなんでだろうって、ちょっと疑問だったんだ」
これからよろしくね、と軽い握手をする。
「あ、引き止めちゃってごめんね。また土曜日に」
「こちらこそランニングの時間とらせてしまってすみません。よろしくお願いします」
そう言って自転車にまたがっていった。
ま、今日も走って追いかけちゃうんだけどね。
来る土曜日。
部活から帰るとまずはシャワーを浴びる。
私のデートではないのだけど、やはり汗臭いのは自分でも嫌だ。
デニム、シャツ、スニーカー。
……シンプルすぎかなこれ。
「はぁ。今度美乃里にオシャレについて教わろうかな」
自分がその立場になった時のことを考え、ぼんやりと考えながら電車に揺られていった。
待ち合わせをしたのは遊園地の入場口。
美乃里はシンプルなベルト付きワンピース。
誠也君は半袖のパーカーにデニム。
「美乃里のオシャレ感ぱないわ」
「本当、きれいですよね」
二人で褒めちぎると美乃里は顔を赤くして恥ずかしがってる。こういうとこはすごく男心くすぐるポイントだよね。私には無理だろうなぁ。
「それじゃあ早速行こうか」
三人分のチケットを買って中に入る。
「どこから行く?」
と言いつつ定番のジェットコースターなどの絶叫系から回る。
「ぅわーーー‼」
美乃里と誠也君を隣同士にするため私は一人、誰とも知らない赤の他人と乘ってる。
ジェットコースターなんて小学生以来だけど、この風が気持ちよくもある。
主に回るのは絶叫系なので、途中途中に迷路や園内をゆっくり回る乗り物にも乘ってゆっくり過ごす。
「そういえば私お昼食べてなかったんだけど何か食べない?」
ファーストフードとカフェ。私はファーストフード派だけど主役はこの二人だ。
「俺はファーストフード派です」
「私はよく本読みに行ったりする分カフェかな」
意見が分かれてしまった。こういう時必ず言われることはわかってる
「亜香里は?」
「私はファーストフード派だからこの近くのエリアのしよう」
私に決定権が委ねられてしまう。
ちょっと歩いた先にちょうどよく、オープンカフェのような佇まいのファーストフードがある。
「私買ってくるよ。二人とも何がいい?」
「じゃあ私はサンドイッチとアイスティー」
「俺はハンバーガーセットで。って一人で三人分は無理ですよ」
誠也君が荷物持ちを買って出る。二人きり作戦は失敗か。というか無理があった。
カウンターまで歩く中、誠也君が私の顔を覗き込む。
「亜香里先輩、あんまり無理に二人きりにさせようとしないでいいですからね」
「あっはは。バレちゃうよねー」
この後は気を付けよう。
「誠也君は飲み物お願いできる?」
「了解です!」
食事が出てくるまでの間、感想とかを言い合う。
「この後はどうする予定ですか?」
「もうちょっと絶叫系行ったらお化け屋敷とか行ってみようかなって。私は行ったことないんだけど、誠也君は大丈夫?」
怪談も怖がる自分が平静でいられるか不安だけど、ここは吊り橋効果に期待したい。
「大丈夫だと思いますよ。夏休みもお昼の特番で怪談話見たりしてたので」
この子強いなぁ。あ、出てきた。
「お待たせー」
美乃里は本を読んで待っていた。こんな時でも本を手放さないのが美乃里らしい。きっとここに来るまでの電車でも読んでいたんだろうな。
「荷物持ちお疲れ様」
軽食ともいえるお昼ご飯を食べてまた絶叫系に乗る。船に揺られるものでは美乃里が軽く酔ってしまったが、あとは乗り物酔いするようなものもない。
「お化け屋敷?」
「そう。美乃里は平気?」
こういうきれい系な人は怖がってしまうイメージを持っていたのだが、意表を突かれてしまう。
「大丈夫だと思う。夏休みの読書感想文は怪談ものだったしね♪」
むしろ楽しそうなんですけど⁉
これで私だけ怖がったらどうしよう……
意を決して突入する。
「きゃあああああ!」
入ってすぐのところで出てきた包丁の突き刺さった幽霊にビビる。
ヤバい。これはヤバい。二人とも笑顔で見てる。
「ゴォアアアアア」
「来ないでーーーーーー」
必死に何かしがみついて進む。もう目をつぶっていたい。
ってか私に何にしがみついてるの?
「亜香里先輩、大丈夫ですか……?」
誠也君が顔を赤くしながら控えめに聞いてくる。少し手前では美乃里が楽しそうに歩いている。
こんなはずじゃなかった。
離れようとすると、また出てキターーーー!
「ダメーーーーー‼」
また誠也君にしがみついてしまう。もう、離れられないよう。
「ごめん、出るまでこのままでいさせて」
「へ、い、いいですよ」
気の抜けたような返事をされてしまったけど、だって怖いんだもん。
顔を赤らめている誠也君に何度も力いっぱいしがみつきながら、なんとか出口までたどり着く。
「ぅうううう」
涙目になりながら出てきた私に美乃里がようやく気付いたみたい。
「あ、と。ええと」
なんで戸惑ってるんだろう。
目をそらしながら。
「亜香里、もうそろそろ腕離してもいいんじゃ?」
……はぅ!
バッと離れてうずくまる。
「ごめんなさいぃぃぃ」
自分に対してなのか、それともしがみついていた誠也君に対してなのかわからない謝罪をしてしまう。
「少しそこのベンチで休みましょうか?」
今はその優しさが痛い。
「はい」
誠也君が飲み物を買いに行った。
あんなドキドキするなんて。
誠也君の腕、文系の割に逞しかったなぁ。それに頼りになって、かっこよ……
「ハッ!」
違う。そうじゃない。私は美乃里と誠也君の中を深めるために来たんだった! でも、本当に恥ずかしさとなんていうか、頼りになるっていうか、あぁこれが吊り橋効果ってやつか。
私、絶対勘違いしてる。そう、これは勘違い。
「炭酸とスポーツ飲料、どっちがいいですか?」
「スポーツ飲料で!」
勢いよくもらうと、ごくごくとCMにでも起用されそうなくらいの飲みっぷりでのどを潤した。
「大丈夫?」
美乃里も心配そうに見てくれる。
「大丈夫だよ。そうだ、最後は観覧車でも行こうか」
絶叫系もあらかた回ったし、時間もいいころ。ここらで締めにしよう。
ガッコン!
ねぇ、そんなトラブルってある?
「亜香里先輩、大丈夫ですか?」
「う、うん」
観覧車が止まったわけではないが、勢い良く揺れて誠也君に壁ドンされてしまった。ちなみに美乃里は私の隣にいる。
なんでこんなにドキドキするの?
なんでこんなに顔が近いの?
「あの、大丈夫、だから」
誠也君も今の状況に気づいたようでガバッと元の位置に戻る。
「えーっと」
何か、話題ないかな。
「今日は楽しかったね」
「ソウダネ」
片言の返事になってしまう。
「藤本先輩、どのアトラクションも楽しんでましたもんね」
確かに、絶叫系ものんびり周回するものも、全部楽しんでいた。
「いつも本の世界ばっかり見てるから、こういった経験はすごく楽しいよ」
なるほど、実際に見て回ったり体験するのはあまりなさそうだもんね。これだけでも誠也君にはプラスになったかな?
誠也君は時折私のほうを見る。いや、私じゃなくて美乃里を見て。まだ恥ずかしいから。
「ちょっと遊び疲れましたね」
「うん。今日はぐっすり眠れそう」
腕を伸ばす。景色を見ると、頂点は過ぎたけれど夕焼け空に市内が一望できる。なかなかきれいなスポットだよね。
観覧車が下に到着し、降車する。
「忘れ物とかない?」
「大丈夫」
少しお土産を購入して、それぞれ帰る。
「はぁーーーーー」
シャワーを浴び、ご飯を食べてベッドにダイブする。
「誠也君、美乃里とどれくらい仲良くなれたんだろう?」
いつもの延長線上に見えるくらい自然には話していたようだけど。でも、それって私ともおんなじなんだよね。しかも私のほうがフランクに話しているし。
おまけにあのお化け屋敷と観覧車は想定外だった。もう二度とあのアトラクションはいかない。
「誠也君に避けられたりしないかなぁ」
優しい彼のことだ。そんな心配は全くないのだろうけど、私からの視点が少し変わりそうでなんていうかどうしたらいいんだろう。
赤の他人と言えていた誠也君に嫌われていないか。一気にそんなことを考えるまでになってしまっている。
「これが、恋だったりするのかな……」
でも勘違いかもしれないし!
誠也君には本命の美乃里がいるわけだし!
これはしばらくは誰にも話せそうにないけれど、朝会うんだよなぁ。
会いたくないわけじゃないし、むしろ会いたい気持ちがある。恥ずかしいけど。
「あ、今回のことは口止めしておかないと」
ベッドに入ってからもしばらくの間は誠也君のことで寝つきが悪かった。
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