第11話 決行

「クラート君、最終確認だ。本当にいいんだな!」

「もちろん。」

「そうか。それじゃあ君が帰ってくることを願っているよ。」

「あぁ。今までありがとう博士。」

ロケットのアナウンスが流れ始めた。

「3,2,1,0」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

1時間後、

「こちらクラート、ただいま隕石に到着。」

「了解。では準備を開始せよ。」

「了解。」

この時のクラートは内心とても怖かった。それでもミオのことを思い、ずっと2時間ほど作業をしていた。

「こちらクラート、準備が終わった。」

「了解。」

「一つお願いがあるんだが。」

「なんだ?」

「ミオさんに、つなぐことはできるか?」

「試してみる。」


プルルルルプルルルル

「お、お前のボーイフレンドから電話だ。きっと隕石が落ちて死ぬのが嫌でお前に電話をかけたんだろう!」

「もし...もし?クラート君?」

「あぁそうだよ。」

「クラート君は今、何してるの?」

「隕石破壊作戦を遂行していて後は時間を待つだけだ。」

「へー!すごいじゃん!緑陽星からミサイルでも撃つの?」

「いや、僕がライトメタル光線で僕ごと吹っ飛ばす。」

「え?じゃあ今、落ちてくる隕石にいるってこと!?」

「うん。」

「生きて、帰れるよね?」

「分からない。」

「そんな...」

「君に言っておかないといけないことがある。」

「なに?」

「僕が隕石を破壊したら君は、自由の身なんだ。」

「え?」

「だから、君は僕よりも幸せになってほしい。最後の時も僕とは違ってたくさんの人に見守られて、僕みたいに岩の上じゃなくてふかふかのベッドで幸せに寿命を迎えてほしい。」

ミオはもう涙をこらえることも出来なかった。

「破壊まであと5分しかない。最後に一言言わせてもらう。」

「...」

「僕も君を愛...してるよ。」

ブツッ

プープープー

「こんな時に告白の返しなんて...ずるいよ...」


「言いたいことを言えたのか?」

「あぁ。おかげでね。あ、そうだ!俺の親友、レイトに今からいうことを伝えといてください!」

「なんだ?」

「レイト、お前に頼みがある。それは...」

博士はクラートの願いを聞き、

「分かった。伝えておく。」

「頼みますよ!」

「あと1分」

「じゃあ、この世界にお別れと行きますか!」

「う、うぅ」

「博士!何泣いてるんですか!こういう時こそ笑って!」

「あぁ、そうだな。」

「フーーー...死にたくないな...」

ドカーーン

「クラート君、君は英雄だ。」


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