第2話 緑陽星

 2800年、大地球開拓政府(大開府)は地球から独立し、真緑陽光星府(緑陽星)となった。この星は地球政府とは違い、秩序と星民の命を尊重し、この星にしか発見されていない万能石ライトメタルを始めとする様々な夢の物質に加え、地球人のように変な進化を遂げるのではなくありのままの人類の形を保つ方針だ

「と、緑陽憲法は定めている!コラ!クラート・グリーン!授業中に寝るんじゃない!」

「すいません。」

「いいか!明日は建星100年の記念日だ!しっかりこの星の未来を考えるように!」

「はーい」


「おいクラートあの鬼教師の前で寝るなんてスゲェ度胸してるな!」

「昨日は夜通し調べものしてたからね。」

「何について調べてたんだ?」

「200年前に起きた冷凍保存遺伝子失踪事件について調べてた。」

「あれか!あれも明日でちょうど200年前の事件なんだとよ!」

「知ってるさそのくらい!今でもあのカプセルは宇宙をさまよってるんだ。でも未だにどこにいるのか分かってないんだ。」

彼らは偏差値40の緑陽高校と言う高校に通うクラート・グリーン(16歳)とレイト・レッド(16歳)だ。クラートは緑陽星警察に非常勤職員として務めており、史上最年少の対テロ任務に成功した人物として一躍有名になった。彼は星府からライトメタル光線グローブ(ライトグローブ)の携行を許可されている。ちなみにライトグローブはライトメタルに電磁波を加えるとプラズマ光線を放てると言う性質を利用して作られた手袋型の光線銃だ。使い方は左腕のマイクに「発射」というと光線が放て、「ツルギ」というと手からプラズマカッターが出る。さらに「守れ」というと半径2m以内に一時的にプラズマドームを作れるという最強光線銃だ。

 そんな日の夜、家で一人で夜ご飯を食べていたところにドカーンと空から庭に縦150cm横50cm程のカプセルが落ちてきた。

「なんだこれ?」

そう言ってそのカプセルをプラズマカッターで開けるとそこには自分と同じくらいの少女が入っていた。その時彼は全てを察した。

「これって... 冷凍保存遺伝子失踪事件の標本体001では?」

彼はすぐに家中の窓とカーテンを閉め、鍵をかけて自分のベッドに少女を寝かせてしばらく様子を見ることにした。

彼女の顔は彼の目に美しく映った。彼女はカチカチに凍ったタオルに身を包んでおり、体温はほぼ零下を下回っていると考えられる。

 彼は、人肌ほどのお湯を入れた湯たんぽをカチカチタオルの上と左右、足元、顔の周りにおいて気が付くまで放置しておいた。

そのまま朝になった。

 朝になっても変わった様子はなく、相変わらず寝たままだった。彼はテレビ(空中ディスプレイ)をつけてニュースを見た。

「速報です。昨夜、田舎の民家のような建物の庭に不明物体が落ちました。」

彼は思った

「まずい、これを知られたら、この子は...」

彼は地下室に布団を敷いてそこに少女を移動させた。彼の家に地下があることは誰も知らない。

 数分後、家宅捜索のため、緑陽星警察が来た。

「昨日ここに何か落ちてきませんでした?」

「はい。落ちてきました。でも庭に空いた穴を覗いても何もなかったんです。」

「そうでしたかありがとうございます。では、また来ます。」

彼は思った。

(そんなあっさり終わらせるんだ。まぁ無理もない今日は星民の祝日だもんな。そりゃあ仕事を早く終わらせたくなる気持ちも分かる。)

彼は一息ついた後、地下室に行った。

「ここはどこ?今は何年なの?あなたは誰?」

少女が起きていた。

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