プロローグ

 【セレストⅢ(3061)】


 西暦3061年、カリスト静止軌道上に放棄されていた数隻の宇宙港級探査船をベースに建設された巨大宇宙島で、『カリスト世代間移住船団第三隊』の1隻。計画案では半径3キロのトーラス型居住区を有し、磁気帆を含めた全長は10.5キロになるとされていた。しかし連邦宇宙局の財政難の影響を受けて未完成のまま就航し、工事はセレストに拠点を有していた民間企業に引き継がれる。何度か改装を受けたセレストだが、密閉型同心円筒を3層有した時代には史上最大の居住可能人口を誇った。およそ200年にわたり船団の旗艦を務め、今なお宇宙開拓の象徴として銀河市民に広く知られている。


 西暦3928年、セレストは船団で唯一、ワームホールエウリュデイケへの進入に成功した。補給船が受信したエウリュデイケ崩壊直前の映像が最後の通信となった。



 

 オーク・リーフ,『新太陽系連邦史』,帝国ディクショナリ出版,e.e1050

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