第10話 「特別警察(ポートラル支部)」にて


■ 「特別警察(ポートラル支部)」にて


 ――「特別警察ポートラル支部」は『ポートラル』にある「警察署」の5階に存在している部署である。

 シュウが「警察署」の中へと入っては、そして「階段」を目指して歩いていると、「一般警察官」の一人から声を掛けられた。

「おはよう、シュウ!」

「やあ、おはよう」

 相手は言った。

「昨日は大活躍だったな?」

「なに、大した事はしてないよ♪」

 ――と、遠くからは「若い婦警」の「甲走った声(かんばしった声)」がした。

「キャー! シュウさ~ん!!」

「シュウさ~ん!!」

 ――対してシュウは、

「♪」

 と、軽く“片手を挙げて”みせて後、「子供っぽい笑顔」を残しては、「階段」を目指して歩いて行った。


 ――「特別警察(ポートラル支部)」。

「おはよう、諸君!」

「「「お早う御座います!」」」

 プー部長のデスクを挟んで(はさんで)は「特別警察(ポートラル支部)」のメンバー達は挨拶(あいさつ)を交わしてみせていた。

 ――ちなみに「特別警察」とは、「一般警察官」が行なう“通常業務”とは異なり、“特殊な任務を行なう事”を“その主目的”として設立された「特別な部署(組織)」の事である。

 ――と、プー部長は言った。

「シュウ、昨日は実に御苦労だったな」

「いえ、特別警察として当然の事をしたまでです!」

「良い意気だ♪」

 ――それではここで「特別警察(ポートラル支部)」のメンバーを紹介してみたいと思う。

 【プー】:「特別警察ポートラル支部」の最高責任者で、「太っちょタヌキ」みたいな見た目をしている「中年男」。皆からは「プー部長」と呼ばれ親しまれている。既婚者。

 【シュウ】:高い身体能力を有した「特別警察ポートラル支部」のエース。子供っぽい笑顔がステキな人物だが、時々“空気を読めない所”がある。同棲中の彼女アリ。

 【ユウキ】:わりと最近配属された若い男。「格闘」「射撃」「情報分析」全てが“それなり”の人物で、主にサポート役として活躍をする。シュウの事をとても慕って(したって)いる。

 【マルコ】:「ナマイキなクソガキ系」小娘で、「マルコ」と言うより「まる子」といった印象。小柄な見た目ではあるが、「格闘」も「射撃」もそれなりに得意。コウの事が好き。

 【コウ】:いつもニコニコしている「見た目が女性」の美しい男性(女装男子)。珍妙な地方の言葉を使う「のほほん」とした人物であるが、「格闘」「射撃」「情報分析」何でもこなせる。

 【ダオ】:「グラマラス」+「ウェーブがかった髪」の気位(きぐらい)の高い女性。「情報分析」を担当。上流階級の人間で、頻繁に「お見合い」をさせられている(らしい)。常識人であるのだが、何故だかプー部長にはタメ口(ためぐち)を使う。

 ――と、プー部長は皆へと言った。

「さて……、今日は皆に伝えたい事がある」

「「「?」」」

 皆は「いったい何だろう?」といった顔をした。

 プー部長は皆へと言った。

「――皆はIPPOを知っているな?」

「ええ」

 シュウが答えた。

「『国際平和警察機構』の事ですね?」

「そうだ」

 ――『IPPO』とは「国際平和警察機構」の略称であり、『アルメリア国』に本拠地を置く「国際的な犯罪を防止する事を目的として作られた国際組織」の事である。

 プー部長は言った。

「実は“上から”の要請で、『とある事件』の調査を“IPPOのメンバーと協力して行なう事”になったんだ」

「「「!?」」」

 言われて皆は驚いた。

 ――と、ユウキが尋ねた。

「IPPOのメンバーがココにやって来るんですかっ!?」

「そうだ」

「な、何人くらいなんですかっ?」

「一人だ」

「一人っ!?」

 思ったよりも少数だった。

 マルコが問うた。

「ねぇ部長……」

「ん~? なんだ?」

「私達が先週から(調査を)進めてる『妖怪髪クレ事件(髪の毛大量密輸事件)』の方はどうすンの?」

 ――『妖怪髪クレ事件(髪の毛大量密輸事件)』とは、「ポートラルの港」にて先週発覚をした「大量の人間の髪の毛が押収された事件」の事である。

 捕まえたメンバーの一人に尋問をしてみた所、「この髪の毛は妖怪に差し出さなくてはならない!」と発言をした事から「妖怪髪クレ事件」と名が付いた。

 そして現在マルコやシュウ達は「この事件」の調査を行なっており、故(ゆえ)に尋ねてみせたのだ。

 ――すると、プー部長はこう言った。

「それは引き続きマルコとコウにやって貰う」

「アタシ達二人だけで……? それって、つまりは“二人っ切り”って事?」

「そうなるな」

 言われてマルコは“拳を小さく”握っては、「よっしゃ!」と密かに(ひそかに)喜んだ。

 ――と、ユウキが尋ねた。

「……という事は、ボクとシュウ先輩が、その“IPPOのメンバーに協力をする”って事ですか?」

「まぁ、そういう事になるな。オレも時々手伝うし、そしてダオには“皆のバックアップ”を頼みたい」

「ああ、良いだろう♪」

 ダオは豪胆(ごうたん)に微笑んだ。

 ――と、ユウキがプー部長へと尋ね遣る。

「プー部長……」

「ん?」

「ちなみに、どんな『作戦内容』なんですか?」

「そうだな……」

 ――と、

『(ちらり……)』

 と、プー部長は「腕時計」を見てみては、“時間の確認”をしてみせた。

 そして、言った。

「そいつは直接“本人のクチ”から聞くとしよう……」

「本人……?」

 ――と、

『パン! パン!』

 と、プー部長は“手を打ち合わせて”は、皆へと言った。

「――よし、お喋りはここまでだ。今から“屋上”に行って、『彼』の事を迎えに行こう♪」

「「「(屋上……?)」」」

 言われて皆は“不思議そうな顔”をした。



■ 屋上にて


 ――「ヘリポート(警察署屋上)」。

 シュウ達は警察署の「屋上」にある「ヘリポート」へとやって来ていた。

 ――と、マルコは“腰に手を当てながら”に、こう言った。

「アルメリア人は“派手好き”だとは聞いてたケドさ~、まさか空から来るとはねぇ~」

「ほんに、楽しみでありますぇ~♪」

 コウ(女装男子)は笑顔でそう言った。

「…………」

 ――一方シュウは空を見ながらに“考え事”をやっていた。

 そんなシュウへとユウキは尋ねた。

「先輩、どうかしましたか?」

「ん? いや、ちょっとな……」

 シュウはこの時、「(もしかしたら今からやって来る人物はロードスなんじゃないか?)」と考えていた。

 シュウの頭の中では「ストーリー」が出来上がっていて、それは――「昨日偶然出会った『謎の人物(ロードス)』が、翌日“新しいパートナーとして現れる”」といったものだった。

 ――と、プー部長は皆へと言った。

「来たぞ!」

「「「!」」」

 言われて皆は“空”に対して目を遣った。


『バラバラバラバラバラバラバラバラ……!』

 ――“遠くの空”に一機の「ヘリコプター」が飛んでおり、“こちら側へと向かって来ている”のが見えていた。

 すると――、

「え……? は? 何? アイツ、バカなの……?」

「ハッハッハッ! こいつぁ愉快な登場だっ!」

 マルコは“それ”を見ては唖然(あぜん)とし、プー部長は笑ってみせた。

 ――よくよく「ヘリコプター」を見てみると、「一人の男」が“片腕”にて「ヘリコプターの足の部分(スキッド部分)」に“掴まって(つかまって)いる”のが見えていた。

 しかも男は「サングラス」に「デニムのベスト」、「迷彩柄の長ズボン」に「ブーツ」といった格好をしていては、それはさながら「アクション映画のワンシーン」のように見えていた。

 ――と、ユウキはプー部長へと尋ね遣る。

「あっ、あの人! 片手でヘリの足に掴まっていますが、アレって意味があるんですかっ!?」

「分からん! 分からんが……! 実に面白いっ!」

「…………」

 ――一方シュウは“遠くから”ではあるものの、「その人物」が“ロードスでは無い事”を確認する事が出来ていた。

 ――そして後、

『バララバラララーー!』

 と、「ヘリコプター」が“上昇を始めて”みせ遣ると、

『(パッ!)』

「「「!!?」」」

 と、「男」は「ヘリコプターの足」から手を離す。

 ――それを見て、

「ちょっとぉ!?」

「キャアッ!」

 と、マルコとコウが叫び遣る。

 ――が、しかし、

『バッ!』

 と、「男」は背負っていた「パラシュート」を“展開”させると、

『(ググッ……、グググッ……!)』

 と、「パラシュート」を上手に扱い、「落下速度」と「進行方向」を自在にコントロールしてみせた。

 ――――――

 ――――

 ――それから暫く(しばらく)空を飛んではその後に、

『トッ……!』

 と、「男」は「屋上」へと(屈むような形にて)“降り立って”みせてくれていた。

 ――この時、皆は、

『『『(ゴクリ……!)』』』

 と、唾(つば)を呑んで(のんで)、「男」の事を見てくれた。

 ――対して「男」は、

『(ゆらぁ……)』

 と、体を起こしては、

『(ニッ♪)』

 と、笑顔を見せて来た。

 ――が、その直後、

『バラバラバラバラバラバラバラバラ……!!』

「「「!?」」」

 と、上空を飛んでいた「ヘリコプター」が“下降”をしては「ヘリポート」へと近付くと、

「ぬうっ!?」

 と、「男」の背負っていた「パラシュート」の「傘体(さんたい)部分」が「ヘリコプター」の(「翼(ブレード)」が巻き起こす)風を受けて、

「うおおおおお~~~~っ!!?」

 と、「男」の体は「屋上」から“吹き飛ばされそう”になっていた。

 ――それを見て、

「わーーーっ!?」

 と、ユウキが声を上げた。

 ――けれども、しかし、

「くっ!!」

 と、「男」は“地面に対して”踏ん張って、「傘体」部分を「ぐるぐるぐるぐる」と両手で急いで巻き取り出すと――、

「ふぅ……」

 と、「傘体」部分を回収し終え、どうにか「屋上」にて“留まる(とどまる)事”が出来ていた。

 ――そして後、

『バラバラバラバラバラ………………』

 と、「ヘリコプター」が“着地をして”みていては、ユウキはプー部長へと尋ねてみせた。

「プー部長……、“パラシュートを使った意味”って何ですか?」

「私にも分からん……!」



■ 男の名は『ロナルド』


 ――それから少しして(パラシュートをヘリへと運んで行ったり等をして)後に、「男」はプー部長の前へと現れてみていては、「サングラス」を取り外し、「敬礼」しては、こう言った。

「プー部長、お出迎え有難う御座います。『アルメリア国』よりやって来ましたIPPOのロナルドです」

 ――男は「凹凸(おうとつ)のある顔立ち」をしていては、「高身長」で「筋肉質」の男であった。

 対して、プー部長はロナルドへと“手を差し出して”は、こう言った。

「待っていたよ、ロナルド。話はキミの上司から聞いている」

 するとロナルドはプー部長の手を“握り返して”みせて後、プー部長へとこう言った。

「お会いする事が出来て光栄です。プー部長のお噂は上司に散々聞かされています」

 ――握手を終えて、プー部長は尋ね遣る。

「アイツは元気でやっているのか?」

「勿論です。あと20年近くは“現役でいる”と言っていました」

「ハハッ! さすがのアイツでも“引き際(ひきぎわ)”くらいは弁え(わきまえ)てるさ♪」

「「「…………」」」

 皆は二人の会話に対しては「部外者然(部外者ぜん)」として黙って見ていた。

 ――ちなみにプー部長は若い頃、「ロナルドの上司」とコンビを組んでいた事があり、二人で“数多くの事件を解決した”という過去を持つ。

 ――その後、ロナルドは、

『(カツ、カツ、カツ……)』

「?」

 と、“シュウの前”へと至っては、

「キミが、シュウか?」

 と、尋ねてみせた。

 ――対してシュウはこう言った。

「ああ、ボクがシュウだ……。キミはボクの事を知っているのかい?」

「モチロンだ。“飛びっ切り優秀なヤツ”だと聞いている。今日から暫く(しばらく)よろしく頼む♪」

 そう言うとロナルドはシュウに対して手を差し出した。

 ――するとシュウもまた“差し出されたその手”を握り返してみせて後、

「こちらこそ、よろしく頼むよ♪」

 と、ロナルドに対してそう言った。




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