第7話 砲撃された現場にて


■ 砲撃された現場にて


 ――少しして。

『ウーー! ウーー! ウーー! ウーー!』

 砲撃された「戦車(シノビンが運転していた)」があったその場所には、現在数台の「パトカー」が集まっていてみせていた。

 ――そしてまた、“その下の方”――つまりは“海の上”には二艇(にてい)の「小型高速艇」が存在をしてみていては、

『パラパラパラパラ……』

 と、その「上空」では1機の「ヘリコプター」がグルグルと“旋回(せんかい)”をしてみせていた。

 ――彼らの目的は“シュウとシノビンの捜索(救助)”であり、そして今し方(いましがた)――、

「おーい、大丈夫か~!」

「ああっ!」

 と、彼らはシュウの事(シノビンを抱えた格好である)を見付けては、“回収する事”が出来ていた。



■ 陸へと戻って来てからに


 ――とある「船着き場(ふなつきば)」にて。

『『『ガヤガヤガヤガヤ……』』』

 複数の「パトカー」と「マスコミ関係者」が見守る中、一艇(いってい)の「小型高速艇」が「船着き場」へと到着をした。

 ――そして、その中からは、

「道を開けてくださーい! 通りまーす!」

 と、「海上警察」に“先導をされる形”にて「シュウ(ほぼ全裸+バスローブ姿)」と「シノビン(手錠を掛けられている)」の二人が現れ遣ってみせていた。

 ――これからシノビンは「パトカー」に乗せられて「警察署」へと連れて行かれては“取り調べ”を受ける事になるのだが、けれどもシノビンは「パトカー」へと乗る前に――、

「シュウ~♪」

 と、名前を呼んでみていては、

「?」

 シュウの事を“振り返らせて”みせていた。

 ――そして彼女は、

「さっきはドーモありがとデース! 助かりましたー♪」

 と、礼を言うと、

「ちゅっ♪」

「!?」

 と、“投げキッス”を飛ばしてみせた。

 ――そして後、

『(ニコッ♪)』

 と、シノビンは笑っては、シュウへと「バイバイ♪」と手を振って後、「パトカー」の中へと入って行った。

 ――それを見ていた「マスコミ関係」の人達は、

「シュウさん、今のは!?」

「浮気っ!? 浮気ですかっ!?」

「シュウさん、彼女との関係はっ!?」

 と、シュウへと「マイク(&カメラ)」を向けて来た。

 ――対してシュウは、

「…………」

 と、少しの間“黙って”みてはその後に、

『(にっこり♪)』

 笑ってみせて後、“質問を無視して”みせていた。

 ――すると、

「シュウ~~!」

「!?」

 と、「中年のオジサン」の声がした。

 ――シュウが“そちらの方”へと目を遣ると、そこには“シュウの上司”である「プー部長」が立っており、

「プー部長!」

「ご苦労だったな。迎えに来たぞ♪」

 と、シュウへと言うと、プー部長はシュウへと“「車(プー部長の自家用車)」に乗るよう”促した(うながした)。



■ 「プー部長の車」にて


『ブゥウウウンーー』

 ――現在シュウはプー部長が運転している車の「助手席」にて座っていた。

 ――そんな中、シュウはプー部長から「携帯電話」を借りていては、

『(じ~っ……)』

 と、「動画投稿サイト」にアップロードされた「とある動画」を眺めてみていた。

 ――それは「一般人」が偶然に撮影していた動画であって、動画のタイトルは【 恐怖! 海底民族は実在したっ!? 】というものだった。

 そして、その動画の内容は――“海から上がって来た”テロドスが、「車」で迎えに来た「ヴィーシャ(黒豹のような女)」に声を掛けられて、そのまま「車の後部座席」の中へと入っては、「車」が走り去って行く――といったものだった。

 ――と、シュウは動画を見終えると、プー部長へと言い遣った。

「『水上警察』から教えられた動画を見てみましたが、彼に間違いないようです……」

「そうか……」

「…………」

 ――この時シュウは“「ロードス=ランド(テロドス)」が無事であった事”にホッとしていた。

 “自分が巻き込んだ人間”が“不幸になる”というのは「楽しい気分」じゃ無いからだ。

 けれども、“ヴィーシャがテロドスの事を車で回収しに来た”事に関しては“疑問”も湧いて(わいて)みせていた。

 ――と、プー部長はシュウへと言った。

「まぁ、何にせよ一件落着で何よりだ。それはそうと、シュウ――」

「ん?」

「ピピ君に連絡をしなくても良いのか? きっと心配してるだろ?」

「!」

 言われてシュウは“ピピが心配してくれていた事”を思い出してみせていた。

 ――と、シュウは言った。

「あの、プー部長……」

「ん?」

「自分は『携帯電話』を落としてしまっているので、部長の『携帯電話』からピピに連絡しても良いですか?」

『(……ちらり)』

 言われてプー部長は“シュウの姿”を見てみせた。

 ――そして、言った。

「そういえばお前、全裸だったな……」

「いえ、ちゃんとパンツは履いて(はいて)ます!(あと、バスローブも!)」

「まぁ、構わんよ……。ただし、『ラブラブトーク』は程々にな?」

「はい。有難う御座います!」

 ――そう言うと、シュウはプー部長の「携帯電話」のアドレス帳の中から“ピピの名前”を見付けては、ピピへと電話を掛けてみた。



■ ピピとの電話


 ――シュウがプー部長の「携帯電話」を使っては、ピピへと電話を掛け遣ると、

『ピッ!』

 と、電話は“繋がって”みていては、ピピは“相手”に対してこう言った。

「はい、こちらピピです……。プー部長、どうかしましたか……?」

 ――すると、“電話の相手”は、こう言った。

「やぁ、ピピ♪ ボクだ! シュウだよ♪」

「シュウ!?」

 ピピはシュウの声を聞いては驚いた。

 ――と、シュウは言った。

「実は今、プー部長から電話を借りてキミに電話をしてるんだ♪」

「……アナタ、もしかして“また”『携帯電話』を失くしたの?」

「うん、そう。“また”なんだ♪」

 ――それは“よくある事”だった。

 ピピは「はあっ……!」と溜め息吐いて後、シュウへと尋ねた。

「……それで? どうしたの?」

「……ん?」

 シュウはこの時、“ピピが自分に興味が無い事”に気が付いた。

 シュウの予想では「ピピが自分の事を心配してくれている」と考えていたのだが、どうやら“そうでは無い”らしかった。

 ――故に、シュウは尋ねた。

「今、忙しいのかい?」

「えっと……」

 ――と、ピピは少し言い淀んで(よどんで)みて後に、シュウへと言った。

「実は今、“車についての話し合い”をしているの……」

「車……?」

 言われてシュウは「ピン!」と来た。

「そっか! 保険会社の人がやって来て、『ボクの愛車(テントウムシみたいな見た目をしている)』の弁償についての“話し合い”をしてるのかい?」

「えっと……、まぁ……、うん。“そんな所”よ♪ ――ただ、相手は保険会社の人じゃなくて『イベント会社の人』だけど……」

「『イベント会社の人』? あー、『世界の車両展』の人達か……。――それで? ボクの車は“元に戻りそう”なのかい?」

「ええ、それは大丈夫だと思うケド……」

「けど……?」

 ――と、ピピはシュウへと言った。

「――ゴメンね、シュウ。もし急ぎの用事じゃないのなら“後にして”くれないかしら?」

「……立て込んでいるのかい?」

「うん、まぁ“そういう所”よ♪」

 言われてシュウは了解をした。

「――OK.分かったよ。単に“ボクが無事だった事”をキミへと伝えたかっただけなんだ♪」

「こっちの方こそゴメンね。アナタが無事で良かったわ♪」

「♪」

 ――と、シュウは尋ねた。

「――ところで、晩御飯までには帰れるのかい?」

「ええ、そのつもりよ♪」

 ――ちなみに二人は“同棲(どうせい)”していた。

 ――と、シュウは言った。

「うん、それじゃあ気を付けて帰って来てね」

「ええ、それじゃあ、また後で……♪」

 ――そして後、通話は“終了をして”みせていた。

 ――と、プー部長が尋ね遣る。

「『ラブラブトーク』は済んだのか?」

「ええ。嫉妬(しっと)をさせて済みませんでした。あと、『携帯電話』有難う御座いました♪」

「あぁ、構わんよ」

 ――と、シュウは言った。

「――それと、どうやら『ボクの車』が“弁償される”みたいです♪」

「そうか。それは良かったな……。今日のお前は頑張ったからな。何か“良い事”の一つくらい、なくっちゃな♪」

「はいっ♪」

 シュウは笑顔でそう言った。




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