第6話 シノビンとのコンタクト


■ シノビンとのコンタクト


『ギャルルルルルルル……!』

「…………」

 ――現在シュウは「戦車の屋根の上」にて存在をしてみせており、「どうすればシノビンと会話をする事が出来るのか」を考えていた。

 実はシノビンに対して先程から何度も「フロントガラス」越しに「止まるように!」と訴え掛けているのだが、けれどもシノビンはシュウの事を“無視する”か、もしくは“左右にハンドルを大きく振って”はシュウの事を“振り落とそう”とするだけだった。

 ――そこでシュウは自身の「携帯電話」の「ディスプレイ」に「自分の携帯電話の番号」を表示させては、「フロントガラス」越しに「携帯電話の番号」をシノビンに対して見せてみた。

『(……むぅ!)』

 ――一方シノビンは“再びシュウが自分の視界に現れた事”に対しては「嫌そうな顔」をしてみせた。

 けれどもシュウは懸命に“ジェスチャー(手振り)”をしては「この番号に電話を掛けてくれ!」とシノビンに対して訴えた。

 ――すると、“そのやり取り”を見ていた「動画(インターネットでの生配信)」の視聴者達が、

『シュウのやつ、すっごく電話をして欲しそう~~!』

『シノビン、折角だから電話をしてあげたら?』

『このオッサン、屋根の上に住んでんの?』

『仕方ない。オレが代わりにシュウと電話をしてやろう……!』

『やめとけ、やめとけ!』

 と、コメントを寄せてみせて来た。

 ――と、そんな中、先程の「高額投げ銭」をした人物が「新たな投げ銭」とともに、

『電話に出て』

 と、コメントをした。

 ――すると、“動画の流れ”は「シュウに電話をするべきだ」という流れになって、

『(ぶすぅ……)』

 と、シノビンは“膨れっ面(ふくれっつら)”をしてみては、けれども渋々シュウに対して“電話を掛けて”みせていた。

『プルルルルル……ピッ!』

 ――電話が繋がり、シノビンは問うた。

「アナータ、いったい誰デースか~?」

「車を止めろっ! 今スグにっ!!」

「…………」

 シノビンはイキナリ怒鳴られ遣ってみせていた。

 そこでシノビンは「ムスッ!」とした顔をして、視聴者に対して尋ねてみせた。

「もう切っても良いデスか~?」

 ――けれども視聴者達はシノビンに対して「続けるように」とコメントの投稿をしてみせた。

 シュウは言った。

「おいっ! 車を止めろ! 言ってる意味が分からないのかっ!?」

 ――けれども、しかし、

「…………」

「…………ん?」

 と、シュウは「シノビンの顔の表情」が“強張った(こわばった)”のに気が付いた。

 故に尋ねた。

「どうしたんだ……?」

 ――すると、「寄せられて来たコメント」を見ていたシノビンは、シュウへと言った。

「大変デース……」

「?」

「今、『シャンシャン』の方に戦車が出て来て、“コッチを狙ってる”んだそーなんデース!」

「な、何だって!!?」

 ――それは、「シャンシャン」に出現をした『チシュー』を目撃した“視聴者”から寄せられた「タイムリー」なコメントだった。



■ 砲撃


 ――「シャンシャン特殊部隊司令室」にいるオワタが『チシュー』に対して命令を下した。

「撃てっ!」

 ――直後、

『ドオンッ!!!』

 と、『チシュー』は「砲弾」を撃ち遣ると、

『ヒュウンッ――――!!』

 と、「砲弾」は音を立てては「梯大橋(かけはし大橋)」目指して飛んで行き――――、

『ドォオオオオオオンッ!!!』

「「!!?」」

 と、シノビンの運転する「戦車」の“近く”に着弾しては“爆発”を起こしてみせていた。

 ――すると、

「うわぁあああっ!!?」

「NOOOOOっ!!?」

 と、シュウとシノビンはその“衝撃”を受けては“体が浮いて”みせ遣ると、

「しまった!!」

 と、シュウは(戦車から落ちない事を優先したが為に)「携帯電話」を手放すと、“失くして”しまってみせていた。 

 ――そして後、

『どおんっ!』

 と、「戦車」が地面に対して“着地”をすると、

「クソっ!」

 と、シュウは“悪態(あくたい)”をついてみせていた。

 ――その一方で、

『ギャルルルルルルルル……!』

 と、「戦車」は尚も“前進を続けて”みせており、

「……っ!」

 と、シュウは“どうにかこうにか”「戦車の屋根の上」を“前へ”と這ってみせて後、「戦車」の「フロントガラス」に対しては、

『ドン! ドン! ドン!』

 と、叩いては、シノビンに対して訴えた。

「おい! 聞こえるかっ! 今スグ戦車を止めるんだーーーっ!」

 ――けれども現在のシノビンは、

「うはは~……、うはははは~……♪」

 と、「お目目グルグル状態」で、その感情は“高ぶって”いては“とても混乱”してみせていた。

 ――そして後、

『(グッ!)』

 と、シノビンはハンドルを握り締めてみせ遣ると、

「サムライ魂、見せたるデーーース!!」

 と、そう言って、「アクセルペダル」を踏み込んだ。

 ――それを受け、

『ギャルルルルルルルルーーーー!!』

「おいっ! バカっ! ヤメロっ!!」

 「戦車」は速度を上げながら「シャンシャン」目掛けて駆け出していた。


 ――一方こちらは『チシュー』の内部。

 車内には「運転手」「砲撃手」「戦車長兼通信手」が乗っており、「砲撃手」が「戦車長(兼通信手)」へと報告をした。

「目標への命中、失敗しました! 目標は現在速度を上げながらにコチラに対して接近中っ!」

「了解しました。オワタ隊長からの新たな指示は有りません。よって、30秒後に再砲撃を行ないます」

「了解! 30秒後に再砲撃!」

 ――直後、

『カタカタカタ……』

 と、「砲撃手」が“データの入力”を行なうと、

『ウィ、ウィーーン……!』

 と、上空にいた「空中ドローン」が“諸々(もろもろ)の計測”をして後に、

『ピピッ!!』

 と、『チシュー』に対しては“情報”を返してみせていた。

 ――それを受けては「砲撃手」が、

「再砲撃の準備、整いました! タイミングをお願いしますっ!」

 と、言い遣ると、

「了解しました。10カウント後に再砲撃……!」

 と、「戦車長」はクチにした。

 ――そして後、「戦車長」は“カウントダウン”を開始した。

「10……!」

「9……!」

「8……!」

「7……!」

「6……!」

「5……!」

「4……!」

「3……!」

「2……!」

「1……!」

「――撃てっ!!」

 ――次の瞬間、

『ドオンッ!!!』

 と、大きく『チシュー』の車体が揺れてみせて後、

『ヒュウゥウウーーーーンッ!!』

 と、シュウ達目掛けては「砲弾」が飛んで行ってみせていた。


 ――一方その頃。

 飛んで来た「砲弾」に気付いては、シノビンは言った。

「来たアルよーーーー!!」

「!!?」

 ――直後、

『ドォオオオオオオンッ!!!』

 と、砲弾は「戦車」の“前面”にて爆発をしてみていては、

「わあああああああああっ!!?」

「オー! マイ! ガーーーーッ!!」

 と、シュウと「戦車」は「梯大橋」より“吹き飛ばされて”みせていた。

「――っ!」

 ――この時、シュウは空中に居ながらに「下」を見た。

 するとその場所は既に「橋の上」から“外れて”いては、「海(海面)」が真下に見えていた。

「うっそだろぉおおおーーーーっ!!?」

 ――シュウは大きな声で叫んでみるも、「戦車」とともに“落下”をしてはその後に、

『ドッボオオオオーーーーン!!』

 と、海へと落ちては「大きな水柱」をぶち上げていた。



■ 水底(みなそこ)へと沈み行く


 ――「十二国特殊部隊シャンシャン司令室」。

 そこには「大きなディスプレイ」が存在をしてみていては『チシュー(とその空中ドローン)』からの「映像(シュウと戦車が吹き飛ばされた瞬間の静止画)」が映し出されてみせていた。

 ――と、オペレーターがオワタに言った。

「目標への着弾を確認しました。目標は海へと落ちた模様ですが、海上警察に連絡しますか?」

「…………」

 ――この時オワタは腕を組みながらに「どうして『Q計画』への参加メンバーが“このようなオーダー(命令)”をしたのだろう?」と不思議に思ってみせていた。

 確かに「シャンシャン」と「ポートラル」の“いざこざ”は「十二国」的には嬉しくはない。

 けれども「『チシュー』を人目に晒して(さらして)までする事なのか?」と疑問に思ってみせていた。

 ――が、しかし、結局は“納得の行く答え”が見付からなくて、オワタは「(まぁ、いっか……)」と思ってみせた。

 ――直後、オワタは髪の毛を「わしゃわしゃ」して後、こう言った。

「至急、シャンシャン及びポートラルの警察組織へと連絡をして、生存者の“救出”に当たらせろ」

「……“生存者”ですか?」

 オペレーターは聞き返す。

「――二度は言わんぞ? それと、船とヘリも動員するよう伝えておけ! 仮に“溺れて(おぼれて)死んだ”のならばそれで良し! だが、“砲撃により死んだ”という事はあってはならない! 分かったな?」

「は、はいっ!」

 オペレーターは“睨み(にらみ)”を付けられてみていては、即座に“応じて”みせていた。

 ――と、

「ふうっ……」

 オワタは溜め息を吐いて(ついて)後、腰へと手を当ててみた。

「…………」

 それから無言で「大きなディスプレイ」を眺めては、“ぼんやり”としてみせていた。


 ――一方その頃、

『ぶくぶくぶく……』

 と、気泡を海面へと上げながら、シュウと「戦車」は“海の底”へと沈んで行った。

「…………」

 この時シュウは“意識を保つ事”が出来ており、呼吸を止めては海の中を泳ぎ行き、「戦車」に対して接触をした。

『ぶくぶくぶく……』

 ――シュウが「フロントガラス」から“中の様子”を覗いてみると、そこには「シノビンの姿」が見えており、

「    」

 けれども彼女は“意識を失っている”ように見えてては、このままでは「戦車」とともに“水底へと沈み行く運命にある”と思われた。

「…………」

 ――シュウは思った。

 これは「(“彼女が起こした事”に対する『罰』であるのかも知れない)」と……。

 ――けれども、

『ぶくぶくぶく……!』

 シュウはそんな彼女の事を“助けてやろう”と思ってみせた。

 そして、シュウは被服を脱ぎ捨ててみせ遣ると、次いでは彼女を救う為、“動いて”みせてくれていた……。




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