ベールを脱ぐ瞬間――とき――

「弘渡、おせーよ!」

「あー、悪い悪い」

「全く、お前は、いつもルーズなんだから」

「来ねーよりマシだろう!?」

「まーな」



「それより、溜馬」

「何?」

「俺、明日、本性バラすから」

「えっ!?」


「お前しか知らない俺と、お互い秘密を知っているアイツとの事。明日、俺、マジギレすっから」


「えっ?アイツって誰?」

「明日、分かる」

「何かあったのか?」

「ああ、ここに来る前にちょっとな」




そして、次の日――――




「でさー、すっげぇ引いたわけ。眼鏡にジャージだぜ?何か一気に冷めたってやつ?学校での牧屋 和華奈は嘘。本当の牧屋 和華奈は……」





ガラッ


私が教室に来た。



「おはよー、ダサ女ちゃん」と、一暢。


「なあなあ、プライベートってマジジャージに眼鏡?」


「それってさー、学校のお前って仮面被ってるってやつ?」


「話聞いて、すっげぇ、驚いてんだけど」


「つーか、幻滅」



男子生徒が矢継ぎ早に話してきた。




「ねえっ!別に良くない?」と、クラスメイトの女子


「そうだよ!」


「別に、ジャージだって和華奈ちゃんは和華奈ちゃんじゃん!」


「ていうかさーー、言いふらす淅山君が、タチ悪いよ!」




「何だと?じゃあ、聞くけど、好きな男が、そんな格好してたらどうなんだよ!」



「それは…もちろん最初は驚くけど、別に気にしないよ!」


「そうだよ!誰にだって、何かしらの秘密あるんだからさ、別に良いじゃん!」




「……どいつもこいつも、牧屋 和華奈の味方かよ!俺は絶対に許せねーんだよね?なあ、牧屋、土下座して謝ってよ。俺さ騙された気分なんだけど?」



「………………」




「つーかさ、黙ってないで、悔しかったら何か…」





ガンッ


机を蹴る音が教室中に響き渡る。



「だったらさ、俺が、代わりに言ってやるよ!」

「あ?何だと?」


「…弘…渡…」



眼鏡を外す弘渡。



ドキン


こんな一大事に、素顔の弘渡に胸が大きく跳ねる。




「土下座しろだ?ふざんけんじゃねーぞ!」




グイッと、一暢の胸倉を掴んだ。



「弘渡っ!暴力は…」と、私。



一暢も弘渡の胸倉を掴んだ。



「ジャージが何だよ!眼鏡が何だよ!俺だって眼鏡掛けて、みんなを騙してたよ!大体、和華奈と知らずに手出してたんだろ?」


「…嘘…」


クラスメイトがざわつく。



「俺さーー、見ちゃったんだよねーー。と、いうより会話が聞こえてさーー。本当、偶々、兄貴の所に泊まった帰りに言い合ってんの外にダダ漏れ」




「………………」



「彼女以外に手出すのってどうなの?言える立場じゃねえよな?お前こそ土下座しろよ!」



 そこへ――――



ガラッ


「ほらっ!!何をしている!チャイムはとっくに鳴ってるぞ!」




ガタガタ…


席につくみんな。




「何があったか知らんが、後で話を聞く。池西と淅山。後で職員室に来い!」





二人は呼び出された。











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