第6話 好きな人

「あの!俺と、お付き合いして下さい!」

「…ごめんなさいっ!私…好きな人がいて…だから」

「…そっか…分かった」



私に告白して来た彼は私の前から去った。




ある日の事。



「牧屋」



ドキッ



「何?」


「今日の放課後…ちょっと…残ってもらってて…良いかな?」


「…あ…うん…分かった…」




クラスメイトの淅山 一暢(せきやま かずのぶ)君。


実は私の好きな人♪




そして、その日の放課後――――




「悪いな」

「ううん」


「いや…実は…単刀直入に言うよ。俺と付き合ってくんね?」




ドキン



「俺、お前が好きなんだ」




ドキン


願ってもいない奇跡。


私の好きな人が


私に告白してる!!



「………………」



「駄目なら駄目でハッキリ言って!」



「いいよ。私と付き合って!」

「えっ…?」

「…私も…好きだから…」

「マジで!?」

「うん」




私達は付き合う事になった。


そんな私達の会話を聞いていた弘渡の姿があった。






付き合って一ヶ月が過ぎる中、弘渡の本性や容姿を知る女子生徒が近付き、弘渡の部屋に訪れては弘渡にアピールしている女の子の姿。





ある日の放課後――――




「悪いけど迷惑だから。男なら俺じゃなくても沢山いるじゃん!?」


「でも弘渡君が好きなの!」




「………………」




《大胆告白》




偶然、耳にする二人の会話。




「自分の想いばかり押し付けられても困るし!」

「…弘…渡…君…」


「きつい事、言うけど、あんた、俺の好みじゃねーし!!じゃあそう言う事で」


「待って!」




そして私は目を疑った。



《うわっ!キスしちゃってるよ》




「…ちょ…」



彼女を押し退ける弘渡。



「何すんだよ!」

「好きだから!」


「好きだからってキスかよっ!人の想い無視して?ふざけんなっ!やって良い事、悪い事あんだろ!」


「…だって…」



「やってらんねーっ!」

「あっ!弘渡君っ!待って!!」



呼び止める彼女に耳を傾ける事なく、弘渡は教室を出て行った。


私の前を通り過ぎる弘渡だったが、ふと足を止めた。



「バ華奈、いたんだ」

「バ華奈は辞めて!」

「じゃあ、ジャージ女!」


「ちょっと!キスされたからって私に八つ当たりすんの……」



グイッと抱き寄せられた。




ドキーーッ


「ちょ…」

「罰として付き合え!」

「えっ!?」



抱き寄せた体を離す。



「彼氏と放課後デートすんの?」

「ち、違っ!つーか、どうして彼氏…」


「あー。偶々、見かけた。私も好きなんだって?和華奈。相思相愛ってありえなくね?」


「良いでしょう!?」


「お前は幸せで俺は不幸かよ!」

「日頃の行いが……」




ベシッと頭を叩かれる。



「痛っ!」

「ほらっ!付き合え!バ華奈!」

「バ華奈言うなっ!」




私はスクールバックを取りに教室に行き校舎を後に帰る



「眼鏡、外した方が良い?」

「えっ?」


「いや…俺達しか知らない秘密だし。クラスメイトと一緒にいるよりは知らない男が良いかなーと思って」


「いや…どうなんだろう?」




そして、結局、弘渡は眼鏡を外した。



ドキン

何故か胸が大きく跳ねる。



私達は、取り敢えず街に行く事にした。


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