隣人〜二人の秘密〜(仮)

第5話 喧嘩友達

「ねえ、沙夜香。やっぱりジャージって駄目なのかな？」

「えっ？」

「結局、私のジャージ姿見て、みんな去るの！ジャージの何処がいけないわけーーっ！」

私は泊まりに来た沙夜香に愚痴をこぼした。

あれから、結局、昌人君とは別れた。

ある日の事―――――

「帰れよ！」と、玄関を閉める隣人の人。

「あっ！ちょ…弘渡っ！！」

「俺達、別れたんだから今更ノコノコと現れんなよ！だいたい、そっちからフっておいて何だよ！」

「…そう…だよね…ごめん…ちょっと色々あって…顔…見たくなって…じゃあ…」

元彼女(カノ)と思われる相手は帰って行く。

カチャ

隣人の部屋の玄関が開く。

カチャ

私も気になりドアを開けた。

目が合い、私は目を疑った。

「何？」

「…隣人…池西君だったの？」

「今、気付いたの？バ華奈」

「えっ…？…今…バ華奈つった？」

「気のせいだろう？バ華奈」

「あっ！ほらっ！やっぱり！」

「和華奈もバカナも一緒だろっ！？」

「違います！！しかも呼び捨てだし！」

「前から呼んでたけど？気付けよ！バ華奈！」

「もうっ！何？さっきから、バカナって…私は和華奈です！」

「別に呼び捨てしても減らねーだろ？隣人、クラスメイト、別の顔。３つ揃ってりゃ、仲間＝友達っしょ？」

「あのねーーっ！勝手に仲間にすんの辞めて！」

そんなある日の事――――

「和華奈、和華奈」

「何？沙夜香」

「今度、友達と出かけるんだ。一緒に行こう！」

「良いけど…でも…私なんかで…」

「良いの、良いの！気軽に出かけるグループデートだし、和華奈はイケてるんだから」

「えっ？今…グループデートって言った？」

「うん。グループデート。難しく考えなくていいんだよ」

「まあ…そうだろうけど…」

そして、私達は出かける約束をした。

その日の当日。

ガチャ

弘渡の部屋の玄関のドアが開く。

「デートか？バ華奈」

「違います！つーか、バ華奈って呼び方辞めてもらえます？」

「“バ”も“ワ”も変わらねーだろ？バ華奈さん」

イタズラっぽい笑顔を見せる。

「あんた、つくづくムカつく！！」

私達は鍵を掛けて、競い合うようにエレベーターに向かう。

「あっ！バナ奈ちゃんも良いな？」

「ちょっと！呼び方増やすな！！」

チーン…

ガコン

エレベーターに乗り込む私達。

すると、エレベーターの中には、既にカップルと思われる姿があり

「ええ〜〜っ、やぁ〜だぁ〜。も〜ぅ、マー君ったらぁ〜。で〜もぉ〜、そんなマー君だけど、だぁ～い好き〜♪」

「あ〜ん、俺も〜♪」

そして、エレベーターから降りる私達。

カップルも降りる。

二人は恋人繋ぎをし、女の子はもう片方の手を男の子の腕に絡めベッタリ。

二人が私達から離れた事を確認し

「あ゛ぁぁーーーっ゛！！何だよ！！あれっ！！ラブラブ指数１００％越えてるぜ！」

「…あの会話は…流石に…」

「まさに二人の世界…でも男は絶対浮気してるな」

「えっ！？まさかっ！あんだけラブラブ…」

「いや…いかにも俺もーって言っておきながら、浮気してるって！」

「最低…」

「まあ、お前も気を付けろよ！つーか、彼氏いたんじゃねーの？」

「別れました！」

「やっぱりジャージ事件？」

「そうなんじゃない！？」

私達は騒ぎ、別れ目的地に向かう。

そして――――

「…なっ…！」

「げっ…！」

私達の目的地が、待ち合わせ場所と、一緒だった事が分かり、他人行儀で１日を送っていた。

その日の帰り――――

「はあぁ〜…疲れた…」

「本当だよなー」

私達は同じ帰り道を隣で肩を並べて色々話をしながら帰るのだった。