第2話 私を知る者

「やだっ!ちょ…遅刻っ!!」




ドタバタ…


私は部屋中を駆け回る。





すると――――




ピンポーン…



私の部屋のインターホンが鳴り響く。




「何?つーか、こんな忙しい時に…」




ピンポン



      ピンポン




ピン……



     ポーン…





2連打押し。


しまいには押し時間と離す時間の間の感覚。


ムカつく程、

タチの悪いインターホンの押し方に腹が立つ。



ムカッ

玄関のドアを開ける。




「うっさいなっ!」


「あんたこそうるさいんじゃ?」


「はあああっ!?つーか、遅刻しそうなんで文句なら後程……」



ドアを閉め始める私。



グイッ ドンッ


ドアを止められ私の腕を掴み、ドアに押し付ける。




「朝っぱらから、うるせーんだよ!つーか!遅刻なんて関係ねーな!」


「はあああっ!?私は大アリなんですっ!」


「土曜日の朝、一人で学校に行く気かっ!?テメーはっ!」


「…えっ…?ど、土曜……日……?」


「一人で授業受けんの!?一人で先生と生徒と2役でもすんの!?なあっ!?」




「………………」




「とにかく!うるせーから学校に行くなら静かに準備しろよ!そして一人で馬鹿みてーに登校しろ!!牧屋 和華奈さん」




そう言うと出て行った。




「…えっ…!?…つーか…今…私の名前…」



ガチャ


後を追うように、すぐに玄関の外に出るも、既に男の子の姿はなかった。




「………………」



「…今の……誰っ!?」






✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕




ドサッ


ベッドに横になる男の子。



「さて!もう一眠り……」




バサッ

布団を退かす。




「寝れるかっつーの!」





ある日の休日の朝。




ガチャ

玄関のドアが開く。




「和華奈ーーーーっ!!」



部屋に飛び込んで来る沙夜香。



「きゃあっ!」





そして……




運悪く私のプライベートの姿をクラスメイトである男子生徒に目撃された。




「…えっ…?…今の……牧屋……?…いや…まさか…ありえ…」




「………………」




「…でも…あの部屋は…確か…。あ、牧屋の妹とか…お姉さん…とか…」





次の日の朝―――――




スッ ガコン


エレベーターに乗り込んで来る男の子。




《…同じ…学校の男子生徒》

《確か…沙夜香と前にイケメンだねーって話して…》




「君、前に友達と一緒にいた」

「えっ?あ、はい…あの…」



《嘘!?覚えてくれてる!?》




「可愛いよねー?君」

「そ、そんな…」

「姉妹も嘸(さぞ)かし美人なんだろうね?」


「い、いいえ…私…一人っ子で…一人暮らししてるんです」


「へえー、そう。女の子の一人暮らしは危険過ぎるよ。平気?何処に住んでるの?何かあったら俺、速攻、飛んできてあげるよーー」



「い、いいえ…大丈夫です」

「そう?」

「はい…」



そしてエレベーターは一階に停止し、私達は降り別れた。




「一人っ子…一人暮らし…つー事は…あのジャージ女は同一人物かよ…!すっげー、ギャップあり過ぎだろ!?」




そして再び、次の日――――



「外に出れば…」



ビクッ


声がし振り返る私の視線の先には昨日のイケメン男子がいた。




「誰にでも好感あるのにねーー」

「えっ…!?…あの…」

「家では…あの姿って……ヤバイでしょう?」



ギクッ



「…えっ…?」

「ジャージ…今日は何色のジャージ着てたの?」



「………………」



《…えっ…!?…嘘…!!まさか見られてたなんて!!…最悪…いつ?》



「まあ、俺はしつこく聞く気ねーけど。でも、あの姿は…誰にも見せたくねーよな?だってさー、かなりダサダサだし、色気も何もねーし」



グサッ



「あれは、どんな男でも、一気に引くぜ?ド・ン・引・き・!」




グサッ


「彼氏の前でも、あれで寝るの?」



「………………」



「それは……」

「つーか、その前に帰られちゃうよなーー?」



ズキン…



「もしかして…ジャージ脱いだらヤバイ下着付けちゃってたりしてーー」


「なっ……!」


「そうなると尚更、最悪じゃん!」



トン

私の両肩に両手をおく。



ドキッ



「俺がプレゼントしてあげようか?」


「け、結構です!一体、何なんですかぁっ!?人の事を、とよかく言う前にあなたの、その性格、疑っちゃいます!どれだけの女の子を泣かせ……」




スッ


私の唇に人差し指で触れる。




ドキン…



「女の子には至って優しく。……でも…本性を知らない君に教える必要は断じて無い!」




ズキン




「…そう…ですよね…」



「……………」



「失礼しますっ!」





胸が痛かった


どれだけの人が


私のプライベートを見て


幻滅しただろう……?



悪い事したわけじゃないのに


どうして見た目で


判断されてしまうのだろう?



「あれは…過去にあった感じだな…」





それから一ヶ月が過ぎ。



あれから彼と会う事はなくなり毎日が過ぎていく。




そんなある日――――




「ねえ、ねえ、今度、和華奈ちゃんの所に泊まりに行って良い?」


「いいよ。でも何もないけど…」

「うん。全然良いよーー」

「そう?じゃあ、おいで」

「うん、OK!!」





次の瞬間――――



「ジャージのお披露目か?」



ドキッ



「えっ…!?」



私は辺りを見渡す。




「どうかした?」

「えっ…?あ、ううん、別に…」



《…誰…!?…男の子の声…》



私は気にしつつも友達と話をしていた。

























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