　取り敢えず解放した奴隷達に仕事を教えていると数日が経過した。

　そろそろ兵を進めたほうがいいのだが、無難な村や町はないかクラウニーと相談する。

「ついに愚かな人間供を殲滅しに向かうのですね！」

　そう目を輝かせているが、殲滅はしないぞ？

「そうだな、だが殲滅はしない、奴ら人間は懐柔して俺たちの墓所で働かせるつもりだ」

　俺の言葉に彼女は異論を唱える。

「正気ですか！？　アリカ様！？　奴らは【守護天使】などと言う正体不明の存在にその運命を委ねこちらの言い分を聞かずに殲滅してくるような狂った連中ですよ！？」

「...かもな、でも人間の中にもいい奴はいる」

　その言葉にも彼女は反論してくる。

「いいえ、あいつらは血も涙もない奴らです、アリカ様の思っているような連中ではありません！　監獄でのお過ごしを思い出せば分かるはずです」

　それを言われると弱い。

　確かに人間にはそう言った醜い部分もある。

　しかし、俺は一度その人間に命を救われている。

　その為にも恩は返しておきたい。

　だからこそ俺はその【守護天使】という連中がどうもキナ臭く感じているのだ。

「クラウニー、この近くにその【守護天使】とやらはいるのか？」

「えっ？　はい確かに存在しますが...！？　まさかもう【守護天使】と【8天勇者】に挑まれるおつもりですか！？」

　その言葉に俺は頷く。

「ああ、ケロ次郎とリウの戦闘も見ていたが、あれならば戦力なる、俺とリウとクラウニー、そしてケロ次郎で【守護天使】とやらを討つぞ」

「その言葉を待っておりました！　では早速我が眷属たる馬のアンデット達でアイシアの城下町までお送りしましょう！」

　このままではジリ貧だと勘づいた俺は【守護天使】の一角を早速突き崩す方針で動く事にした。

　この作戦が吉と出るか狂と出るか。

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