第6話
アホな私 その六 予防注射で昏睡
長く深い雪が解けて春が来ました。
白一色から黒い土が見えて道端に小さな花の芽が出てくるのは好きでした。
私は小学四年になりました、二十四人のクラスで男女名前で呼びあっていました。
6月に入ると学校で腸パラチフスの予防接種がありました。十時頃注射を受けた後に気持ち悪くなり、先生に言って家に帰りました。
たまたま帰り道の所で母たちが田植えの最中でした。親戚一同が持ち回りで田植えをします、大きな田んぼに十人くらいが腰をかがめてかけ声をかけながら、ながぁ~い三角の木枠をコロッと手元に回しては苗を植えます。
いつも見事な光景に私は感心していました。
叔母がどうした?と気付いてくれて私は具合が悪いって言ったら母が家に帰って寝ていろ、すぐお昼で帰るから~と言いました。
私は家に帰り布団を敷いて寝ました。それから三日間眠り続けたそうです。当然学校で注射をしてくれたお医者が来てくれました。
「予防注射の液が入りすぎたね」と言ったそうです。その次の日も渡し舟に乗って来てくれたそうです。三日目に母方のおばあちゃんが花を売ったお金で水あめを買って来てくれました。少し薄めた水あめをスプーンで私の口に入れたそうです。しばらくすると目が開いたそうです。私も後から母に聞いてびっくりしました。おばあちゃんありがとう。
その頃から大川に橋が架かる事が決まりました。
そしたら医者もらくに村に入って来れます
おばあちゃんの花売りも後にはリヤカーで売りに行けるようになりました。橋が完成するまでは時がかかりましたが私の体も回復して、日曜日にはおばあちゃんのリヤカーの後ろを押して手伝いました。家では妹も生まれた時から病弱で大変だったよと、後に母は言っていました。今から思えば皆栄養が足りなかったんだなぁと思います。
でもおかげ様で八十才になりました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます