第5話

アホな私 その五 本家にお嫁さん

私が小学3年の秋の事です。

本家の長男にお嫁さんが来た。

私は初めて本家側の方に行きました。

村長おじさんの家と続いた家で、大きな庭伝いで、大きな座敷の奥に小太りの女の人が頭に白い綿帽子をかぶって座っていました。

私の首くらいまである高い廊下越しに私は見た。

お嫁さんって綺麗だな~と思って、そして広い部屋だな~と思いました。

村の人たちも大勢見に来ていました。

この時はこれがどういう事なのか、どんな事なのか、全然わからなかった。それを聞く事も出来ない私でした。

四年生になると、このお嫁さんに赤ちゃんが生まれて、私はこの本家に子守としてかかわっていく事になるなんて、この時は全く知りませんでした。

この冬も雪が多くて、どんよりしていて、

それでも大家族で迎える新年はうれしいものです。最後の日は皆早くお風呂に入り、新しい下着を来て、一番いい着物を着て夕食の席に着きます。私はこれが幸せって言うんだと思いました。

新年初めての朝は父が一番に起きて井戸の

一番水を汲みあげます。

この時はポンプになっていました。その前は井戸だったから汲みあげるのが大変だったそうです。

私の父は山で炭焼きをしていました。事故で片足が曲げられなくって、いつも囲炉裏の側に寝そべっている人でした。今なら椅子の生活で不自由がないのにって今更ながら思います。私が生まれた時から父はそのような状態だったので、全然私は違和感がなく回りの人も何も言わないし私もだれにも聞くことはなく無口な父で、私はそんな父が大好きでした。

おかげ様で八〇才になりました。

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