9話 「超」スキルとの別れ
「結局野宿コースじゃねぇか!」
と、今日一の叫びが出た所で受付カウンターの奥から人が出て来た。
受付の男「他のお客様のご迷惑となりますので、叫ばれるのなら外でやってください」
(いや、好きで叫んでた訳ちゃうねんけど)
「すみませんでした」
男の口調こそ丁寧ではあったが、大の大人に凄まれてビビった零はすごすごと外に出た。
「はぁ、俺っていっつもツイてないよなぁ、、、」
結局その日は外で寝るしか無くなったため、街にいるより外(森)の方が安全だと判断して森に向かった零。
だがそんな都合よくいいスポット見つけられないのが普通なので、街を覆っている壁の側で寝た。
街の路地で寝ている者は少なくはあったがいた。
だが魔物の危険がある外で寝ている者はいなかった。
零の周りに居なかっただけで、実際はいるかもしれないがそんなことは今関係ない。
あるのはただ街にいながらも外で寝たという事実だけである。
「これは泣いてもいい、、、」
(こんな不憫な目に遭ったんだ、さぞ明日のガチャの結果はいいのだろうな!これで普通な内容だったらガチ泣きを見せてやる!キツいぞぉ大の17歳のガチ泣きは!!)
そんなふざけた思考を皮切りに眠る事にした零。
普段零は朝起きたらすぐガチャを引くのだがこの日は違った。
朝一番に宿の予約をしようと、街に入ったのである。
(6箇所めになるのかな?今度こそ空いてて欲しいなぁ)
普通に考えたら朝早くにチェックアウトを済まして宿を出る者はあまりいない。
「あの、朝早くにすみません。1部屋空いてないですか?」
だが、運の良いことに、
受付の女性「はい、空いてますよ。丁度先程出て行かれた方がいまして、まだ掃除が終わってないので少々待って頂いてもいいですか?」
「ああ、また夜6時頃に来ますんで予約だけして部屋を確保したいだけなので、今すぐ部屋が必要というわけではないんで」
受付の女性「わかりました。では何泊ほどご利用する予定ですか?」
(今手持ちのお金が3万円しかないからなぁ、、、とりあえず2日にしてもらって、稼いだ後に延長してもらおう!)
「えーっと、じゃあ2日でお願いします」
受付の女性「承りました。それでは12000円ほどお支払い下さい」
袋から2万円を取り出し、カウンターに置く。
受付の女性「はい、確認しました。8000円のお返しです」
「ありがとうございます」
受付の女性「朝食はこちらで食べて行かれますか?食べられるのなら別料金で1500円かかりますが」
「あ、それは大丈夫です。夕食はここで取れますか?」
受付の女性「ええ、大丈夫ですよ」
「ではそれでお願いします」
受付の女性「わかりました。では7時までに来てください」
「わかりました」
(よかった。無事に予約取れた。この後は朝食をどっか別の場所で食べて、冒険者ギルドでクエストでも受注しよう)
朝食をギルドの近くの店で済ました後、零はそのままギルドに直行し、
Fランクのクエスト『レッサーウルフの討伐』を受注した。
10匹の討伐が条件、成功時5000円の報酬。
そして討伐した証として爪が必要とのこと。
爪を1匹から複数確保してズルが出来るんじゃないかと確認したところ、別個体のものかどうか分かる道具があるらしい。
魔石はクエストとは別で売れるらしい。1つ1000円で売れるから、全部の魔石を残せれば1万円にもなる。
ここで問題が1つ、武器を持ってないから爪が剥がせない。
クエストを受けた後すぐ武具店に行き、短剣(小)を5000円で買った。
朝食で1800円使ったため残り1万1200円となってしまった。
気を取り直してレッサーウルフが生息しているであろう森に向かった。
その道中でガチャを未だに引いてないことに思い出した。
「ステータス」
00000000000000000000
Name 榊 零
種族名 人族
レベル 10
HP 300/300
MP 450/450
力 45+120(身体強化魔法の効果)、 合計165(魔法発動時)
魔力 20+100(称号の効果)、
防御力 40
脚力 60+120(身体強化魔法の効果)、 合計180(魔法発動時)
HP再生力 0.003
MP再生力 0.45
精神力(SAN値) 81
グリムアーツ
・槍術(E)
スキル
・ガチャ(1日1回ガチャを回すことが可能、出る中身は完全ランダム)
・自己鑑定(自身の鑑定のみに使える)
・スキルホルダー(小)
・スキルホルダー(微)
・身体強化魔法(中級)
・異世界言語(中)
・聴覚強化(超)
称号
「異世界に転生せし者」(効果は、レベルアップ時におけるスキルポイント取得量に補正、魔力に100の補正、スキル自己鑑定の付与)
ステータスポイント 3
111111111111111111111111111
「うわぁ全部スキル優秀じゃん、、、」
(これでゴミスキルが出た時は、その時は本当に泣くかもしれないな)
昨日の考えがよぎる。
「だからって引かなかったら勿体無いし、、、」
(頼む!出来ることならスキルホルダー系来てくれ!今まで運が悪かったんだ。そんくらいはしてもらわないと釣り合わない!)
「、、、ガチャ」
今までで1番真剣に唱えたガチャ、その結果は!?
・波動(中)
武器などに纏わせることができる氣の上位互換。
氣は武器などにしか纏わせることが出来ないがこれは自身にも纏わせることが出来る。自身に纏わせた場合、力と防御力と脚力に補正をかける。
これを使用する時に必要となるものはなくパッシブで発動出来る。
習得難易度が異常に高い。
刃物に波動を纏わせた場合は切れ味が少し上昇する。
鈍器に纏わせたら重さが増える、などなど。
様々な用途がある。
上書きするスキルを選んでください。
「、、、微妙に使い勝手が良いのやめてほしい」
(でもこうなるとどれ消すかほんと迷うよなぁ、スキルホルダーは絶対消せないし、
異世界言語も自分の力で学び直すのはナンセンス。身体強化魔法はチートレベルで強いし、、、聴覚強化は、、、初の超だし。でも1番使ってなくて役に立たなそうなのはこれな気がするけど、いやいやいやレッサーウルフを探す索敵にも不意打ち対策にも使えるし、、、でもなぁー正直なくて困らないのがコレだけなんだよなぁ、、、スキルホルダーが1番必要って時にぃぃぃ)
「悩んでても仕方ない。聴覚強化、、、船降りろ」
聴覚強化(超)を削除します。
「ああああああ、もう超級出ないかも知れなかったのにいいいいい」
どこまでも未練のある結果であった。
しばらく未練たらたらな零はブツブツと呟きながらも、目的地に到着した。
森に入り、練り歩いていると目的のレッサーウルフが姿を現した。
「あれ?お前ってあの時の雑魚狼じゃん!」
(こいつで色々実験させてもらおう。
とりあえず最初はどれくらい素のステータスでやれるかの確認だ)
初動は零であった。
短剣を振り翳し、狼に突っ込む零、それを軽く躱すレッサーウルフ。
反撃の引っ掻きは零の想像していた威力ではなく、軽く腕の肉が抉れてしまった。
まさか浅いとはいえ腕を抉られてしまった事実に零は驚いていた。
とりあえず身の危険を感じた零はバックステップで距離を取った。
だがそんな行動を見て自分が優位だと思ったのか、突っ込んできたレッサーウルフ。
「まさかこんなダメージを受けるなんて、、、、めっちゃ痛い、けどまだ痛いのは我慢出来るからな。
どちらかと言うと怖いのは傷口からの二次感染の方だな。
そんなことより素のステータスじゃあこの狼にも勝てない。
さっき、聴覚強化と引き換えに手に入れた波動を使ってみるか」
別に余裕でもないのに、わざわざ聴覚強化と引き換えに手に入れたと言っているあたり、未だに引きずっていることが窺える。
「波動」
別に魔法ではないので唱える必要はないのだが、唱えたい気分であったのだろう。
波動を体に纏った零。
(身体強化ほどではないが、体が軽くなって力も湧いて来た。狼の動きも捉えれる)
「これを躱せるもんなら躱してみろよ」
と言いながら短剣にも波動を纏わせて横に一閃。
レッサーウルフは急に挙動が変わった相手に驚いていたせいで、数瞬回避行動に入るまでの動作が遅れた。
そのせいで、いや、遅れていなくても躱せていなかっただろう。
そのたった一振りで討伐に成功した零は聴覚強化より有能説が浮上していた。
(結構使えるなこれ!しかも消費するもの無しでパッシブだって?普通にチートですね。ありがとうございます)
しっかり魔石と爪を回収した零はステータスを確認した。
「ステータス」
00000000000000000000
Name 榊 零
種族名 人族
レベル 11
HP 247/300→297/350
MP 450/450
力 45×2(波動の効果) 合計90
魔力 20+100(称号の効果)、
防御力 40×2(波動の効果) 合計80
脚力 60×2(波動の効果) 合計120
HP再生力 0.003→0.0035
MP再生力 0.45
精神力(SAN値) 71
グリムアーツ
・槍術(E)
・短剣術(E)
スキル
・ガチャ(1日1回ガチャを回すことが可能、出る中身は完全ランダム)
・自己鑑定(自身の鑑定のみに使える)
・スキルホルダー(小)
・スキルホルダー(微)
・身体強化魔法(中級)
・異世界言語(中)
・波動(中)
称号
「異世界に転生せし者」(効果は、レベルアップ時におけるスキルポイント取得量に補正、魔力に100の補正、スキル自己鑑定の付与)
「波動の使い手」(効果は体力に50の補正、力に10の補正、防御力に10の補正、脚力に10の補正)
ステータスポイント 8
111111111111111111111111111
(やっぱり波動の方が優秀で草。なんか称号も追加されてるし、めっちゃ強いじゃん)
「引き続きレッサーウルフ討伐、、、の前に力にステータスポイント割り振っておこう」
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