2話 異世界生活スタート!


 スキル・カバディ(大)

(反復横跳びの速度があがる)



「は?」


(え?嘘でしょ?こんなゴミある?闇ガシャなんてもんじゃねぇぞ!!)


「ちょ、ちょっと待て…なんで異世界でカバディをやらなきゃいけないんだよ!?普通に考えておかしいだろ!現代日本でもしねぇよ!こちとら反復横跳びするために異世界へ来たわけじゃないの!!ってかムカつくことになんで小とかじゃなくて大引いてるんだよ…大事なのは中身っておばあちゃんが言ってたよ?」


(でもおばあちゃん言ってなぁ…「ものは試しだよぉぉ」って)


「一応試してみるか、、、、一応…」


 まぁ結果は言わずもがな、ただ反復横跳びをしているだけに終わった。


「やっぱゴミじゃねぇか!!!」


そんなこんなしている間にも辺りは暗くなり始め、、、、


「くっそ最悪だ!まだ何にもしてねぇってのに…ってか普通こんな初手からサバイバル要求するかぁ?俺生粋の現代っ子なんだが!?普通に死ねるよ!?ってか死ぬよ?いいのこんなんで?俺の異世界生活が音速を超えた速度で幕を閉じかけてるけど」


(とりあえず安全に体を休められる場所を探さないといけない…最悪水と食料はまだ大丈夫だ。いや嘘付きました…普通に限界です。誰か助けてください)



 そんな零の祈りが届いたのか、歩き回っているうちに、、、、、




 魔獣と出くわした。




「・・・・・はぁ?」

(あれ?これ詰んだ?)



 魔獣は猪の姿をしており、今にも突進してきそうだ



「まぁ待て、一旦落ち着こうじゃないか…」


 何を思ったのか猪に猶予を求めはじめた。


 その返答は突進で返されることとなった。


「どわっっ!危ねぇじゃねぇか!なにすんだよ!?」


 無論、突進である。

 なんとか紙一重で体をひねることで躱したものの、何も対抗する方法がない現在

 零のとった行動とは、、、


「にーげるんだよぉ〜!」


 そう、逃走であった。恥も外聞もない綺麗な、もうそれはもう無様な逃走劇だった



(クソッ!クソっ!クソッ!なんで俺の異世界生活はこんな難易度がナイトメアマストダイなんだよ!?おい運営聞いてんのかよ!至急バランス調整を要求するぜ!)


なんてアホなことを考えながらも撒くことに成功した零。


(やばい、、、疲労と空腹で倒れそうだ…あのクソイノシシめ)


勿論逃げる時は全力疾走であった為、疲労も相当な事になっている。

最後の最後で運良く、周りからは見られ難いであろう良い感じの崖下にたどり着くことは出来たが…疲労困憊状態であった為、糸が切れたように倒れ込んでしまった


次に目を覚ましたのは昼頃であった。



(もう日が昇ってる、、、一日の長さが短いのか?いや…俺が寝過ぎただけだろうな)


実際その通りで日の経ち方は現代日本と変わりは無い。


(今更気づいたが、別に異世界だからと言って太陽が二個あるとかはないな…)


「あ!そゔだ!」


掠れた声を上げる。

一日何も飲んでいなかった為喉が渇いて掠れているのだ。



(まだ今日の分のガチャ引いていなかった!というかカバディの印象が強すぎて忘れてたけど、アイテムとかが出るわけじゃなくてスキルが出てきてたな、、、スキル限定…?そしたらツムツムだけど…流石にないと信じたい。出てくるなら水魔法とかが最も望ましいが!昨日から災難続きなんだこれくらいの願いはまかり通っていいはずだ!)


「ってかまさかだけどマイナスになるような物は引かない、、、よな?」


 少しの逡巡はあったものの、どうせ引かなければ野垂れ死にそうな状況下で迷っている場合ではないと思い直して、ガチャを引いた。



     ◇


 スキル・聴覚強化(中)


 スキル・カバディ(上)

 を削除します。


     ◇


「マジか、、、スキルは一つまでしか持てないのかよ」


(水魔法…欲しかったなぁ)


本音がド直球なのはご愛嬌というもの


「あ!ってかこれで川とか水の音とか探し当てれるんじゃないの?」


(もう後はない…やれるだけやってみるか!)


 スキルを使用することによって色々な音を拾えた

 その中には零が最も望んでいた音も、、、


 サラサラ


(!?)

「これは!」

 水の音だと是非もなく判断して直行


「やっぱり!」


 そこには推測通り、川が流れていた


(普段であれば蒸留とかなんかしなきゃいけないんだっけ?)


 ただ、そんな余裕が零にあるはずもなく


(まぁ最悪腹を痛めるくらいでしょ!)


 と結論付け、川に口をつけゴクゴクと飲みはじめた。


 ほんの数十秒後には、


「プハァ!キンッキンに冷えてやがる!!」

 嘘である。普通に常温だった。


(冷たくないにしてもとりあえずは助かった)

「そういえば良く川上から下っていけば街があるとか聞いたことあるような?」

(まぁここに居ても仕方がないしとりあえず行動!)


 その一日を使った結果は




「何の成果も得られませんでした!!!!」


 そう、森を抜ける半ばくらいで川が蒸発していたのだ。

 元々小川だったから仕方がないのかもしれない。

 零はこうして半日を無駄にしたのである。



(結局昨日寝た崖下にまで戻って来る羽目になるとは、、、とりあえずここを拠点としよう)

「飲み水は確保、、、できたと思う。」

(あとは食料だなぁ)


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