第7話 世紀の大同盟
1940年9月27日、ある1つのニュースが世界に衝撃を与えた。
"ベルリン首脳会談で日独伊ソ四国同盟が成立"
連合国にとって最も恐るべき、そして成立の可能性はないと見られていたドイツとソ連の本格的な軍事同盟が現実のものとなったのである。
これによりソ連赤色空軍の参戦が予想され、海・空の防衛戦において勝算を見出していたイギリスの戦略プランは苦境に追い込まれた。
意外かも知れないが、民族主義者のヒトラーはドイツ人と同じゲルマン系のアングロ・サクソン人が大半を占めるイギリスとの戦争を積極的には望まなかった。
ヴィシー政権を通じて講和を持ち掛けていたヒトラーだったが、チャーチルがそれを拒んだのだ。
外相のハリファックス卿もイタリアを仲介者とする和平案を提案し、チェンバレン前首相やロイド・ジョージ元首相と言った有力議員がこれを支持したが、対独強硬派のチャーチルは戦時内閣に入っていた労働党のクレメント・アトリーの力を借りてこれを拒否した。
更に首都を重慶に移すなどして頑強に抵抗し、沿岸部と鉄道を抑えるのに手一杯の日本軍を泥沼の長期戦に引き摺り込んでいた中華民国も日ソによる南北からの挟撃が予想された。
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9月末、ロンドン某所
「どうされるのです、ダウディング大将。」
ヒュー・ダウディング。イギリス空軍大将に任ぜられるこの男は、イギリスの命運を賭けた史上最大の航空戦"バトル・オブ・ブリテン"において戦闘機軍団の指揮を任せられ、、7月末から始まったドイツ空軍の猛攻を凌いでいた。
「ソ連空軍はI-16を始めとした旧式戦闘機が中心とは言え約1万5000機を抱える大戦力。我が軍のスピットファイアやハリケーンでもこの物量差では如何とも…」
「そんな事は分かっている!ともかく先日のロンドン誤爆とベルリン報復空爆の件もある。ビギン・ヒル周辺(ロンドンにある空港地帯)の警戒を怠るな。」
「…承知しました。」
「(パークの率いる部隊も各地で劣勢が続いている。ソ連機に
王都を守護するイギリス空軍の間に、如何ともし難い暗雲が立ち込める______。
※バイエルン航空機製造が開発したドイツの主力戦闘機。
航続力に乏しい反面一撃離脱戦法を取る際に真価を発揮し、トップ・エースとして名高いエーリヒ・ハルトマンが乗っていたのもこれ。
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