王都マデルナ
第4話 冒険者ギルド
「ふわぁ…」
朝目が覚めると自分の部屋で寝ていない事を思い出す。
今日はギルドに行かなきゃなぁ…。
目を擦りながら朝の支度を済ませていく。そういえば朝食があるんだった。僕は心をワクワクさせながら下の階に降りていく。
「おはようございます!ノエルさん」
「おはようございます。ティアさん」
この子の名前はティアと言うらしい。胸にかかったネームプレートに書いてあった。
「朝食ができるまで少々お待ちください」
「分かりました」
朝食を待ってる間、暇なので食堂を色々見てみることにした。食堂の壁には様々な絵が飾られていた。しかし何が凄いのか今ひとつわからない。精々綺麗だなぁぐらいしか思えなかった。
「お待たせしました〜。卵のスープとパンです。パンにはこちらのジャムを塗って食べてくださいね」
「おぉ…!」
物凄く美味しそうだった。涎が今にも溢れてきそうだ。
「いただきます」
なんだこれは。今まで食べてきた料理の中で1番美味しいではないか。これからこれが毎日朝に食べれるのか。
あっという間に食べ終わってしまった。少し名残惜しいが、また明日も食べれると自分を宥め宿を出た。
先程、ティアさんにギルドの場所を聞いたところ歩いて10分くらいで着くらしい。説明された通りに道を歩いていると遠くの方にとてもでかい建物が見えた。
「あれが冒険者ギルドかぁ…」
中に入ると朝早いからか余り人はいなかった。そのまま受付カウンターまで歩いていく。
「おはようございます。新規登録ですか?」
「はい」
「ではこちらにお名前と年齢をお書き下さい」
「分かりました」
「冒険者についての説明は必要ですか?」
「お願いします」
ミリアさん(受付カウンターのお姉さん)の話をまとめると、冒険者には階級があり E D C B A S の6段階がある。最初はEランクから始まり、依頼などを一定数達成すると一つ上のランクに上がれる。しかし一定期間依頼を受けなかったり、依頼を一定数失敗するとランクが下がる。また、魔物にもランクがあり基本的には E D C B A S の6段階に分けられる。しかし稀にSSランクなどが出ることもあるらしい。もちろん武器や防具、装飾品などもこの6段階で分けられる。
基本的に冒険者はパーティーを組んで戦うらしい。ソロでも活動はできるがとても危険なので大体の人はパーティーを組んでいると言う。
「質問はありますか?」
「大丈夫です」
「ではこちらの水晶に手をかざしてください。あなたの能力を確認しますので」
ついにこの時が来てしまった。僕は最底辺の星0。星0で冒険者になろうとする人はほぼいない。居るとしても物凄く剣の腕が立つような人だ。僕は力だけは人一倍ある。親の手伝いで農業をずっとしていたからだろう。しかし能力を確認されなければ登録はできない。何故なら冒険者ギルドが冒険者の能力を把握していないと犯罪が起きた時に対処が出来にくいからである。
僕は観念して右手を水晶にかざした。するとミリアさんばギョッとした顔になり、こちらをチラッと見てきた。
「少々お待ちください」
どうやら教会に確認しに行ったようだ。まぁ、普通なら星0で冒険者になりたいなんて人はいないと思う。
しばらく待っていると
「すみませんが本当に冒険者になりたいのですか?」
「はい。どうしてもならなきゃいけないんです。」
別の職業にすればいいと思う人がいるかもしれないが手っ取り早く大金を獲得するにはダンジョンで宝箱をゲットするのが1番いい。ダンジョンではたまにだがEランクの魔物からAランクの装備が出ることがある。Aランクの装備は1つ100万円で売れると聞く。ならばこれを狙う他ない。
「…分かりました。しかし何かあってもギルドは責任を持ちませんのでよろしくお願いします」
「ありがとうございます!」
「ではこちらのギルドカードに血を一滴垂らしてください」
同時に渡された針を使ってギルドカードに血を一滴垂らす。
「これであなたは今日から冒険者です。幸運を願っています」
これで晴れて僕は冒険者となったのだ。
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