19 栞の屈辱

 俺は渋る栞を手近なラブホテルに連れこんだ。


 互いにシャワーを浴びた後、栞の服を脱がせる。


 白く輝くような裸身があらわになった。

 胸は小ぶりだが、下半身はむっちりとした感じで色っぽい。


「くっ……」


 栞は唇を噛みしめ、両肩を震わせていた。

 屈辱感に満ちたその美貌が、ますます俺の興奮を煽る。


「さあ、たっぷり味わわせてもらうぞ――」


 言いながら、俺も裸になり栞をベッドに押し倒した。


 ……すっかり悪役だな、俺。

 ふと思うものの、別にいいかとも思った。


 こいつは敵対者なんだ。

 徹底的に叩く。


「……気持ち悪いわね」


 俺を見上げながら、栞が吐き捨てるように言った。


「その気持ち悪い男にヤられる感想はどうだ?」


 俺はニヤリと笑い、彼女の胸を揉みしだいた。


「くっ……」


 悔しそうにしながらも栞は抵抗しない。


 相手も同じ能力者なんだし、気を抜けば、どんな反撃を受けるか分からない。

 致命的な反撃を受けるかもしれない。

 だから、そうする気力を根こそぎへし折る。


 犯して、犯して、犯し抜いてやる――!


 俺は獰猛な衝動のまま、栞のすらりとした両足を割り開いた。


 そして、その間に自分の腰を押し進めていく――。


    ※


 犯された――。


 栞は呆然としたまま大の字になっていた。


 東雲の方は何度か達して満足したらしく、今はベッドサイドに腰かけてスマホをいじっている。


(悪夢のような時間だったわ……)


 東雲とのセックスは数時間に及んだ。


 さすがに相手は若く、体力も精力も有り余っているようだ。

 下腹部には鈍痛が残っていた。


 もちろん処女ではないが、しばらくぶりの性交だったし、何度も何度も求められたから体に負担がかかったようだった。


 起き上がる気力が湧かない。

 いや、動く気力すらない。


 怒りとか悲しみではなかった。


 ただ、屈辱感だけがあった。


 彼の能力は『殺人』に関するものらしい――というのは、仲間から聞いていた。

 仲間内では最強格の一人だった竜堂も、その力によって殺されてしまった。


 栞の力は、そこまで戦闘力が高くないし、正面から東雲に立ち向かうのは得策ではない。


 ならば、今はセフレ――この立場は屈辱でしかないが――に甘んじて、彼の隙を伺ったほうがいいだろう。


(いずれ必ず……この報いは受けさせてあげる)


 栞は、静かに復讐心を燃やす――。






※次回投稿は1/1の12:20です。


***

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