18 栞の能力

「次はお前の能力について話してもらう。詳しく説明しろ。弱点も含めて、な」


 俺は栞に命令した。


「……私の能力は『結界作成』よ」


 栞が言った。


「最大で半径500メートル圏内に『結界』を生成するの。そこでは攻撃や防御などあらゆる面で私に有利に働く――」

「具体的には?」

「攻撃に関しては火炎や稲妻といった攻撃を行えるの。防御はバリアみたいなもので身を守れる。身体能力も数倍にアップするわ」

「つまりは自分自身をパワーアップさせる空間ってことか」

「平たく言えばそういうことね」


 うなずく栞。


「といっても、万能無敵というわけにはいかないけどね。現に私はこの悪魔とやらに捕まっているわけだし」

「悪魔を力ずくで振りほどくことはできないのか?」

「ちょっと難しそう……仮にできたとしても、あなたに殺されるんでしょう?」


 栞が俺を見据えた。


「迂闊なことはしたくないわ」

「ふん、それでいい」




 ――その後も俺は栞から能力の詳細を聞き出した。


「大体のところは分かった。じゃあ、ついてこい」

「どこへ行くの?」

「ラブホだ」


 俺はニヤリと笑った。


「主従関係になった証に『契り』を結んでやる」


 興奮が高ぶっていた。


 つい少し前には人妻の高子と交わったばかりだというのに……いや、むしろあれで俺の中のタガが外れてしまったのか。


 栞は美人だし、彼女を抱きたいという気持ちの出どころは性欲だ。


 けど、それだけじゃない。

 女を片っ端から組み伏せ、犯し、征服してやりたい……という獰猛な支配欲が以前より強くなっている気がする。


「…………」


 栞の顔色が青ざめた。


「なんだよ? まさか初めてってわけじゃないだろ」

「こ、恋人でもない相手と、そんなこと――嫌よ」


 栞が拒絶の意志を示した。


「逆らうな」


 俺は頑として告げる。


「お前が俺の手駒だということを教え込む。心にも、体にもな。こいつは――儀式みたいなものだ」







***

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