6 出現したもの
もぞり、もぞり、と闇が蠢く。
そう、彫像の中に入っていたのは『闇』としか形容できない何かだった。
外見は黒いモヤのような感じだ。
それが緩やかに漂いながら、いびつな人型のシルエットを作っている。
数は、全部で三体。
「神の力を感じる……誰だ……『
「間違いない……殺戮の神……エルギアスの力の欠片……」
「神の中ではもっとも我らに近しい存在……だからこそ、引かれ合った……か……?」
三体が口々に告げる。
いや、それは実際に言葉を発したのではなく、脳内に響くテレパシーだったのかもしれないが、俺の耳には音声と変わらずに聞こえた。
「お前たちは――なんだ」
いつでも【爆殺】を撃てるように準備しながら、俺は問いかけた。
全身からぬるい汗が伝う。
「すでに察しがついているのではないか?」
「我らは超常の存在」
「我らは異界に住まいしもの」
三体がふたたび、口々に告げる。
先ほどよりも口調が明瞭になっていた。
「我らは――『悪魔』」
そして、三体が同時に告げた。
「っ……!」
俺は思わず息をのんだ。
そう、あの『扉』に描かれていた内容――。
そこには神、天使、竜、そして悪魔という四つの超存在が記載されていた。
こいつが……こいつらが、悪魔。
竜堂に力を与えた天使のように、幻想体として出現しているのか?
それとも――。
「目的はなんだ……?」
あふれる疑問を整理するため、まずは質問してみる。
「なぜ俺の前に現れた?」
こいつらは敵か、味方か。
どちらでもないのか。
慎重に見極める必要がある――。
***
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