3 近隣のヤンキーたちを制圧する1


「とりあえず『兵隊』の補充と拡充だな」


 俺は今後の方針を立てた。


 竜堂戦においても勝負の決め手の一つとなった、俺の手駒。

 ヤンキーたちを【強制】で俺の兵士にしたわけだが……もう少し数を増やしておきたいところだ。


 この町だけじゃなく、いくつかの町にいるヤンキーたちを可能な限り『兵隊』に加える。

 そして、竜堂みたいな奴が襲ってきたときに、俺の盾となり、あるいは剣となるようにしておきたい。


 ……まあ、攻撃に関しては俺の【殺人チート】があるから、まず盾になってもらうことが最重要だ。


 それともう一つ――。

 新たなスキル【撲殺】についてもテストしておきたい。




 放課後、俺は電車で隣町までやって来た。


 すでに『兵隊』化している連中から、ここの高校のヤンキーの溜まり場を教わっている。

 駅近くの高校の傍にあるコンビニ裏手である。


 近づくとタバコくさい臭いが漂ってきて、俺は顔をしかめた。


 タバコは嫌いなのだ。

 この臭いの発生源というだけで殺したくなるが、せっかくの『兵隊』の数を無駄に減らすわけにはいかないから自重する。

 と、


「なんだゴラァ! 殺されてーのか!」


 俺に気づいたのか、ヤンキーの一人が叫ぶ。


 近づいただけで『殺されてーのか』とは。

 本当に血の気の多い連中だ。


「それだけエネルギーが有り余っているなら、もっと有意義なことに時間を使えよ」


 俺はせせら笑った。


「それから――『殺す』なんて単語を簡単に言わない方がいいぞ」


 まず見せしめに【撲殺】で一人殺そう。


 それで奴らは黙るだろう。

 俺に、奴らを殺せる力があると理解するだろう。


 その後は順番に奴らに触れて【強制】をかける。

 ……といっても、ここじゃ人目があるからな。


「お前、マジで殺されてーの?」


 ヤンキーの一人が俺に近づいてきた。

 おっと、あまり接近されるとまずいな。


【殺人】チートがあるから、殺すのはいつでもできる。


 けれど、そこまでせずに『叩きのめす程度にとどめる』というのが、俺にはできない。


 俺にできるのは『殺す』ことだけだからな――。



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