第4章 神と悪魔

1 帰宅


 しばらくして、白い霧は消えてしまった。

 俺は元の場所に戻っていた。


「何者なんだ、あいつは――」


 扉の隙間から垣間見えた存在。


 まったくの正体不明だ。


 だが、雰囲気でなんとなく分かる。

 あるいは本能で。


 あいつはエルギアスより、さらに上位の神とか、あるいはそれ以上の存在なんじゃないだろうか。

 あいつに会うことができたら、そのとき何が起きるのか。


 これも想像だけど――。




 さらなる『力』を授かるんじゃないだろうか。




 エルギアスが俺に『力』を与えてくれたように。

 天使セリューエルが竜堂に『力』を与えたように。


「もっと大きな力、か」


 それを得られたら――。

 この世界で、俺はなんでもできる。

 どんなものでも手に入る。

 栄耀栄華を極めた無敵の人生を送ることができる。


 そんな気がするんだ。




 俺は帰ってからシャワーを浴びた。


「今日は色んなことがあったな……」


 竜堂との出会いと殺し合い。

 さらに帰路での『扉』の出現。

 そして、『扉』の向こうにたたずむ存在。


「とりあえず、ゆっくり休もう」


 あの扉に書かれていた情報から考えると、神や天使などから『力』を授かった人間というのは、まだまだいるようだ。

 今回のように戦いになるかもしれない。


 だけど今は――。

 だからこそ今は、身も心も休めよう。




 そして明日からは、またいつもの学園生活だ。


 能力者が相手でもなければ、俺は無敵だ。








***

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