26 帰路に出現したもの1

 俺は竜堂を首尾よく殺害し、帰路についていた。


 今までに殺してきた者たちと比べれば強敵だった。

 俺が殺される可能性だってあった。


「だけど、俺は勝った……勝ったんだ……」


 気持ちが高揚していた。


 スポーツで試合に勝ったような爽快感……いや、それも違う。

 他の連中を殺したときに覚える万能感……いや、それも違う。


 体中の細胞が歓喜しているかのような、この感覚は――いったいなんだろう。

 もしかしたら、生まれて初めて味わう類の喜びかもしれないな。


「くくく」


 自然と笑みがもれる。


 と、そのとき俺は周囲に白い霧がたちこめていることに気づいた。


「これは――?」


 以前にも同じような現象があった。


「また、あの世界に入ったのか……?」


 俺は周囲を見回す。


 案の定――いつの間にか、辺りの景色は白黒二色のモノクロームに変わっていた。


 まっすぐ歩いていくと、前方に高さ五メートルほどの板……いや、『扉』があった。

 エルギアスの姿はない。

 扉だけがたたずんでいた。



 前方にあの扉があった。

 その表面には光り輝く文字がある。


――――――

名 前:東雲涼介

スキル:【爆殺】……レベル3

    【呪殺】……レベル2

    【強制】……レベル2

    【撲殺ぼくさつ】……レベル1

――――――


 前に見たときより、俺のスキルのレベルが1つずつ上がっているようだ。


「……って、あれ? 新しいスキルが書かれてる――」


【撲殺】。

 今までは表示されてなかった、第四のスキルだ。



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