25 氷竜眼(文香視点)
SIDE 文香
片桐文香はタクシーに乗って現場までやって来た。
この間知り合った東雲涼介に監視用の『
「能力者同士はいずれぶつかり合う、ということかしらね、
『そうね。超常の『力』を得た人間は、なぜか『同種』と戦いたがる傾向にあるわね』
と、彼女に『力』を与えた存在――氷嵐竜が答える。
といっても、直接言葉を発したのではなく、文香のスマホに文字を打ち込んで意思を伝達していた。
どういう仕組みでスマホに文字を表示しているのか分からないが、この能力によって、文香は氷嵐竜とまるでメールかLIMEでもしているかのように会話をすることができた。
「【氷竜眼】で遠隔視した感じだと、東雲くんにはなんらかの殺傷能力を持っているようだけど――」
【氷竜眼】は『さまざまなものを見る』能力だ。
その中には『監視カメラ』のような能力バリエーションもある。
対象の周囲数百メートルの映像を文香に伝えてくれる、というものだった。
『録画』のような状態にして後から見ることもできるし、何度でも『再生』することもできる。
あるいは『ズーム』や『遠望』などの機能も一通りそろっている。
その【氷竜眼】で見た限り、東雲は遠距離から竜堂を殺害していた。
飛び道具のたぐいは確認できなかったし、具体的にどうやって殺したのかは不明だ。
竜堂の能力同様、目には見えない何かを飛ばしているのだろうか――。
「【氷竜眼】の【過去視モード】で探ってみるか……」
文香はニヤリと笑った。
名前の通り、過去を見ることができる【氷竜眼】の能力バリエーションの一つ。
ただし、発動のためには文香が誰かと性行為をする必要がある。
【過去視モード】に限らず、能力の発動や解放には、なぜか性的な行為を伴う必要が多かった。
文香自身の精神性と関係があるのだろうか。
「とりあえず適当なセフレを呼び出そうかな」
スマホを取り出し、連絡欄をタップしながら今日の相手を吟味し始める。
能力発動のためとはいえ、セックスそのものは存分に楽しむつもりだった。
文香は腰の芯が早くも熱く蕩けるような興奮を感じ始めていた――。
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