14 不完全体

 セリューエルが吹き飛ぶ。


「な、なんだ……!?」


 こちらを見ている竜堂が驚きの表情を浮かべた。


「それは……なんだ――!?」


 彼の視線は俺の皿に後方に向けられている。


「?」


 俺は不思議に思って背後を振り返った。


 そこに――黒い影がたたずんでいた。


 漆黒の体。

 身長は二メートルくらいで、セリューエルと同じく幾何学的なデザインだ。

 頭部から二本の角が、背中からも同じく二本の角が生えている。

 全身は甲虫のような外骨格で包まれていた。


「こいつは……?」

『命令をどうぞ』


 そいつが語った。

 赤い両眼が俺を見つめている。


「お前は……?」

『私は殺戮の神エルギアスの幻想体です』


 そいつは電子的な声で告げた。


「幻想体――」


 俺にも、出せたのか。

 概要だけとはいえ、竜堂から幻想体の出し方を聞いたおかげなんだろうか。


「……本当にエルギアスなのか?」


 本体とはしゃべりかたも雰囲気も全然違う。


『私は、あくまでも幻想体……本体の分身です。本体と同一の存在ではありませんゆえ』


 と、幻想体エルギアスが言った。


「なるほど……じゃあ、命令させてもらうぞ。『俺を守れ』」


 とりあえず身の安全を確保すべく、そいつに命令した。


『了解しました』


 幻想体エルギアスが俺の前に立つ。


「――【穿て】」


 直後、竜堂が攻撃してきた。


 ごうんっ!


 爆音が響く。

 どうやら奴の攻撃が幻想体エルギアスに命中したみたいだ。


『私の体にダメージがあります。あの攻撃を何発か受けると、私は一時的に具現化できなくなります』

「えっ」


 思ったより耐久力がない。


『まだ不完全な幻想体ですので。あなたがいずれ完全な幻想体を出せるようになれば、耐久力をはじめとした能力は飛躍的に向上します』


 と、幻想体エルギアス。


「ん? お前、もしかして拗ねてる……?」


 返事は返ってこなかった。









***

〇『武術の神』と呼ばれたじいさん若返る。10歳の美少年になって無双&ハーレムの二周目人生を堪能します。

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