12 痴漢に【時限爆殺】を仕掛ける


 翌朝――。


 俺は二つ隣の町の駅まで来ていた。


 鈴木さんはここから電車通学しているそうだ。

 で、痴漢被害を受けているという。


 俺は人ごみの中に身を潜め、周囲をそっと見回す。


 ――いた。


 鈴木さんが階段から降りてくる。

 やがて電車が来ると、俺はこっそり鈴木さんと一緒の車両に乗り込んだ。


 彼女には何も言っていない。

 万一、バレると困るから、いちおう髪形を変えたり眼鏡をかけて変装しておいた。

 で、しばらく観察――。

 すると、


「っ……!」


 鈴木さんの表情が変化する。


 見れば、彼女の尻の辺りに誰かの手が這い回っている。

 俺は人ごみをかき分けるようにして、じりじりと近づいた。


「……あいつか」


 四十代くらいの、小太りのサラリーマンだ。

 外見は意外なほど真面目そうな顔をしていた。


 とりあえず――痴漢行為をやめさせよう。


 ――【強制】発動。


『痴漢行為を今すぐやめろ。今後、一度でも相手の意に沿わない性的な接触を行った場合は、ただちに死ね』

「ううっ……!」


 男はびくんと体を震わせると、即座に鈴木さんの尻から手を引っ込めた。


「これでよし……!」


 ただし、こいつには【強制】による死なんて与えない。


 ――【時限爆殺】を発動。


【強制】と【時限爆殺】は重ね掛けできるんだろうか?

 疑問はあったが、まあ重ねてかけられないとしても【強制】と【時限爆殺】のどちらかは効果を発揮すると思うし、こいつが痴漢行為をすることはもう二度とない。


『今日の夜十時きっかりに爆殺執行』


 俺は【時限爆殺】の設定を行った。


 さあ、後は奴が死ぬのを待つばかり。

 これで鈴木さんは痴漢から解放されるはずだ。


「いいことをした後は気分がいいな♪」


 俺はにっこりと笑った。


 鼻歌でも歌いたい気分だった。







***

〇『武術の神』と呼ばれたじいさん若返る。10歳の美少年になって無双&ハーレムの二周目人生を堪能します。

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