8 扉、ふたたび


「なんだ、ここは……?」


 いつの間にか周囲の景色が変わっていた。


 音がない。

 色がない。


 白と黒だけで構成されたモノクロームの空間。

 周囲には、白い霧のようなものが立ち込めている。


「なんか……光ってる……?」


 前方に淡く輝く『何か』があった。


 俺は気になって、そっちに向かって歩いていく。

 そこには巨大な扉があった。


 高さ五メートルほどの板状の扉だ。


「これは――」


 そう、以前にエルギアス神が示した扉と同じものだった。


 ってことは、やっぱりここは現実の空間じゃないのか?


 なぜこの扉が突然現れたんだ。

 前回はエルギアスが召喚呪文みたいなもので扉を呼び出したけど、今回、そのエルギアスの姿はない。


 扉だけがたたずんでいた。


 ポウッ……。


 と、その表面に光り輝く文字が浮かび上がる。

 ただし、その文字や数字は激しくぼやけていて、何が書いてあるのか全然分からなかった。


「なんだよ、これ……何も分からないじゃないか」


 俺は舌打ちした。

 扉に顔を近づけて目を凝らすが、やはり判別できない。


「ん……?」


 よく見ると――読み取れる箇所があるぞ。


――――――

名 前:東雲涼介

スキル:【爆殺】……レベル2

    【呪殺】……レベル1

    【強制】……レベル1

――――――


 なんだか、俺の能力ステータスみたいなものが書いてある。

 さらに、その近くにもう一か所読み取れる文字列があった。


――――――

能力者区分:神……1/4

      天使……26/36

      竜……10/12

      悪魔……72/72

――――――


 どういう意味だろう?


 現状では情報が少なすぎて、意味不明だった。


 今後、能力が成長していけば、他の箇所も読めるようになるのか?

 そうなれば、この文字の意味も分かってくるのか――?


「ま、これからおいおい調べていくか」


 今すぐ分かる話じゃなさそうだし、な。


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