7 カモフラージュ殺人


「……そうだ、この力を使って、何人か殺しておくか」


 現状だと、俺の周囲で殺人が起きすぎている。


 だから、俺とは関係ない場所で爆殺しまくり、煙幕代わりにするわけだ。

 この事件は俺とは関係なしに各所で起きている――。


 警察がそう認識してくれればベストだ。


「そうと決まれば、まず殺す相手を決めないとな……」


 当然、さっきみたいに社会に迷惑をかけているクズを優先的に殺してやる――。




 しばらく歩くと、別のコンビニが見えた。


 そこの駐車場に何人ものヤンキーがたむろしている。

 近くにアパートがいくつもあるというのに、大声で笑ったり、駐車場内でバイクを猛スピードで乗り回したり……無法状態である。


「あれなら殺してもいいな」


 俺はニヤリと笑った。


 普段なら、ああいう他人の迷惑を顧みない連中には不快感しか覚えない。

 けど、今日ばかりは心の底から嬉しかった。


 たとえるならソシャゲの課金ガチャで当たりを引いたような気分……だろうか?

 今からやろうとしている殺人におあつらえむきの連中にすぐに出会えたんだからな。


「右から順番にアルファベットを振って、全員に以下の通りの時間指定で【爆殺】を発動する……Aは今日の午後十時、Bは明日の午前三時、Cは明日の午前八時、Dは明日の午後五時、Eは明後日の午前六時……」


 と、その場の全員に対して、そう念じた。


「じゃあな。せいぜい最後の時間まで人生を楽しく過ごせよ、お前ら」


 俺はヤンキーたちにもう一度ニヤリと笑い、去っていった。




 俺は上機嫌で歩いていた。


【爆殺】が時限式になったことで、かなり便利になったといえる。

 今までは必ず殺人現場に俺がいる状態だったからな。


 とりあえず今日、ヤンキーたちに時限式の【爆殺】をしかけておいたし、俺とはかかわりのない場所で奴らが次々に死んでいくはず。


 警察が俺をどの程度疑っているのか分からないが、少なくともカモフラージュにはなるだろう。

 上手くいけば、完全にマークが外れるかもしれない。


 ……いや、そこまで高望みするのはやめておこう。


 とにかく、警察に対して油断はしない。


 せっかく素晴らしい力を手に入れたんだから、これから先も力を使って、人生を快適に過ごしてやる――。


 そのとき、前方から白いモヤが立ち込めてきた。


「これは……?」


 そうだ、以前にも一度覚えがある。


 この現象は、確か――。





***

〇『武術の神』と呼ばれたじいさん若返る。10歳の美少年になって無双&ハーレムの二周目人生を堪能します。

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