4 俺と成瀬と山田
「お、おはよう、東雲くん」
と、今度は成瀬が声をかけてきた。
俺に媚びるような視線と仕草。
本当に、嘘みたいに従順になったな。
ま、屋上での虐殺劇を見せつけられたんだから、当たり前か。
「ね、ねえ、今日はどうするの? あんたが望むなら、もちろん相手するけど?」
言って、蠱惑的に体をくねらせる。
あらためて見ると、やっぱりエロい体つきしてるよな、成瀬は。
まだまだ楽しませてもらおう。
もちろん、飽きた時点でサヨウナラだが。
この世から、な……。
「ん、放課後になってから考えるよ」
言いながら、俺はこっそり彼女の胸を揉みしだいた。
「きゃっ……」
一瞬、成瀬の表情が険しくなる。
「ん、なんだ?」
「あ、ううん……えっと、その……き、気持ちよくて声が出ちゃったの」
慌てたようにごまかす成瀬。
「はは、俺に早くエッチしてほしいのか? ま、放課後まで我慢しろよ、このメス犬」
「っ……!」
屈辱的な言葉に成瀬が表情を歪める。
「なんだ、怒ったのか?」
「ま、まさか! じゃあ、放課後……楽しみにしてるねっ」
成瀬はふたたび媚を売るように笑顔を見せた。
なかなか素直でよろしい。
当面はセフレとして扱ってやるからな、成瀬。
次に声をかけたのは山田だ。
「し、東雲……」
山田がおびえたような顔で俺を見る。
まあ、こいつも屋上での虐殺劇を見ているから当然の態度か。
宮本にもいずれ同じような光景を見せてやらないとな。
「なんだ、元気がないな」
俺は奴の肩にポンと手を置いた。
「昨日のこと、誰にも言ってないよな?」
と、耳打ちする。
「……!」
たちまち彼の顔が蒼白になった。
「も、も、もちろん……」
「はは、そうビビるなよ。なんにもしないって」
俺はにっこり笑った。
「今のところは、な。お互い、学園生活を楽しもうな」
「くっ……」
山田は一瞬悔しげな顔をした後、俺から視線を逸らして去っていった。
こいつも、もう二度と俺をいじめることはないだろうな。
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