19 いじめっ子はおびえ始める2(山田視点)

「荒れてんな、山田」


 中庭を歩いていると、前方から数人の男子生徒が歩いてきた。

 金髪やスキンヘッド、ピアスなど、明らかに校則違反している容貌で、いずれも凶悪な面構えをしていた。


「お前ら……」


 いわゆる『不良』にカテゴリされる生徒たち。

 山田自身はヤンキーではないのだが、彼らとはそれなりに親しかった。


「聞いたぞ。お前のクラス、とんでもねーことになってんだって?」

「二人死んだとか聞いたな」

「しかも、二人ともお前とつるんでた奴なんだろ?」

「お前もあぶねーんじゃねーの。ははっ」


 彼らが笑う。


「うるせーな。この俺がむざむざ殺されるわけないだろ」


 山田は不快な気持ちをこめて、彼らをにらんだ。


「そう言いながら、ちょっとビビってんじゃねーの?」

「ああ!?」


 山田は怒りの声を上げた。


「まあ、落ち着けよ。俺ら、これでもお前を心配してんだからよ」

「何?」

「そいつら殺した奴の心当たり、ついてんじゃねーの?」

「……怪しいやつはいる。具体的な証拠はねーけど、状況から見て、そいつは怪しすぎるんだ」

「なら、とりあえずボコっちまうか」

「……ただ、そいつはなんていうか……得体が知れないんだ。うかつに動けねー」


 山田がつぶやく。


「へっ、やっぱりビビってんじゃねーか」

「ちげーよ。俺は確実に勝てるように戦略を練ってるだけだ」


 ぺっ、と地面に唾を吐く山田。


「うだうだ考える必要なんてないだろ」

「あ?」

「全員で取り囲んでボコっちまえばいい」

「痛めつけて、真相を吐かせる……か。ま、それが一番手っ取り早いか」


 ただし、田中の死因は首を切断されたこと。

 彼がなんらかのトリックを使って殺した……という可能性だってある。


(こいつらを盾代わりにして確かめてみるのもいいかもしれないな)


 山田はほくそ笑んだ。


「分かった。じゃあ、協力してもらってもいいか?」

「貸し一つだぞ」

「分かってるよ」


 山田はニヤリとしてうなずいた。




***

〇『武術の神』と呼ばれたじいさん若返る。10歳の美少年になって無双&ハーレムの二周目人生を堪能します。

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