17 気に入らない奴を、俺はいつでも『処刑』できる
田中を殺したときは生首が残ったが、今回は頭部が完全消滅したようだ。
いろんなバリエーションがあるのか、それとも別の理由か?
俺は眼前で頭部を吹っ飛ばされ、即死した男を見ながら、愉快な気分に浸っていた。
強烈な爽快感と万能感があった。
すでに、『人を殺す』という行為には慣れてしまっていた。
自分でも驚くほど、慣れが早い。
相手が嫌な奴だからか。
死んでも構わない奴、と認識したからか。
罪悪感は全然なく、心の中にあるのは達成感だ。
「これでもうタバコを吸えないな。ははっ」
俺は小さく笑う。
殺人の罪悪感がまったくないことに、軽く驚いたが、まあこういう奴が生きていても、どうせ他人を不快にしたり、迷惑をかけるばかりだろう。
今ここで始末した方が、社会のためにもいい。
よし、気持ちの整理終わり。
「……なんて、悠長なことを考えてられないな」
頭部を失い、地面に転がった男の死体を見て、俺は足早に現場を離れた。
殺人の証拠はないけど、誰かに見られたら厄介だ。
「単純に殺すだけじゃなくて、誰にも見られないようにするとか、別の能力もほしいな……」
今度エルギアスに会えたら、聞いてみようかな。
まあ、ほいほいと二つ目の能力をくれるとは思えないけど――。
家に帰った後、だんだんと興奮が高まってきた。
俺は――念じるだけで誰でも殺せるんだ。
たとえば、犯罪者を大量に殺していくことだってできるかもしれない。
「『悪人退治』ってのもアリか。でも、まずは身近な人間から順番に『掃除』していきたいな」
俺の周囲から嫌な奴がいなくなっていけば、おのずと俺の生きる世界は快適になるだろう。
さしあたってはいじめっ子たちだが、他には――誰がいるだろう?
「ま、時間はたっぷりあるんだ。ゆっくり考えよう」
俺はワクワクしながら、ベッドに寝転がった。
急に眠気が訪れる。
『能力』を使うのって、もしかしたら体に負担がかかるのかな?
などと考えながら、俺は静かに眠りに落ちていく――。
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