15 殺戮の神との再会

「つまり、俺以外にもこういうチートを授かった人間が過去にいた、ってことか? あるいは、現代にもいるのか?」


『さあね。僕が「力」を与えたのは君一人さ。けど、他の神や天使が誰に「力」を与えたか、なんて管轄外だし、全然知らねーな』


 どうでもよさそうに答えるエルギアス。

 この分だと、秘密とかじゃなくて本当に知らないんだろう。


「じゃあ、他に質問していいか? せっかく会えたからいろいろ聞いておきたい」

『いいよ~』


 エルギアスが軽いノリで承諾する。


 じゃあ、さっそく質問だ。


「俺の能力っていくつかのモードがあるみたいだけど……もっと詳しい使い方を教えてもらえるのか?」

『それは僕じゃなく、君自身の「力」から教わる必要があるね』

「俺自身の、『力』から――?」

『ええと、こいつを見てもらった方が早いか……【扉召喚ゼルクゲート】』


 エルギアスが呪文らしきものを唱えた。

 すると、


 ずんっ!


 俺の目の前に高さ五メートルほどの巨大な板が出現する。

 いや、板というよりこれは――。


『僕は単純に「扉」と呼んでいる』


 と、エルギアス。


 確かにその板は中央に分割線が見えた。

 観音開きの扉のような構造に思える。


『君の深層領域へとつながる扉――その向こうには、君の「力」の「本体」がいる』

「『力』の『本体』……」

『君が自分の「力」をより深く知りたいなら、その「本体」に会うことだね』


 俺は扉にそっと触れた。


 固い。

 びくともしない。


『ふふ、今はまだ開かないみたいだね。もっと「力」に習熟したり、君自身の精神を強くしなければ、無理じゃないかな』

「今はまだ、か」


 つぶやく俺。


【殺人チート】は今でも十分に強力な能力だと思う。


 だが、もしさらなる成長を遂げられるなら――。

 一体、どんな能力になるんだろう。


 その能力を得たとき、俺はそれで何を為すんだろう。


 何を、為したいんだろう。

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