11 パワハラ体育教師
その日の二限目、体育の授業中に事件は起きた。
「おい、何やってるんだ、お前!」
体育教師の木村が怒鳴る。
身長は190センチ超で、筋骨隆々としたコワモテである。
あだ名はゴリラ……ベタだが。
「ちょっと気分が悪くて……」
男子を何組かに分け、1500メートル走をする、という課題で、生徒の一人が座りこんでしまったのだ。
顔色が悪く、息も荒い。
「うるせえ! そんなもんは根性で何とでもなるだろうが! 俺の授業を舐めてるのか!」
叫びながら、倒れた男子生徒を手に持った竹刀で殴りかかる。
こいつは前々から前時代的でパワハラな授業をしていた。
生徒やその親から訴えられたことも一度や二度じゃないらしい。
が、なぜか大したお咎めもなく、またこうしてパワハラを繰り返す。
「おらっ、立て! 立てぇっ!」
木村が竹刀で何度も彼を打ち据える。
彼は悲鳴を上げ、ほとんど泣きそうな表情だ。
他のクラスメイトは誰も助けようとしない。
教師に正面から反抗する、というのは相当の勇気がいるからな……。
まして木村はあの体格だ。
下手なことを言えば、自分も痛い目に遭わされるだろう。
木村は恐怖と威圧で暴君と化しているのだ。
「こいつの性根は直らないな……」
思った瞬間、俺はごく自然に考えた。
――殺すか。
自分でも驚くほどナチュラルに、そんな殺意を抱いたのだ。
念じるだけで人を殺せる力を持つ、とはこういうことなんだろう。
俺がその気になれば、目に付いた者を片っ端から殺すこともできる。
まあ、もしかしたら回数制限なんかがあるのかもしれないが、まさか大量殺人をして能力テストをするわけにもいかないしな……。
ともあれ、今は目の前の木村のことだ。
こいつは、殺されてもいい気がする。
生きているだけで、多くの人間にとっての害悪になっている。
――よし、殺そう。
俺は決断した。
が、方法が問題だった。
最初の殺人みたいに、その場で直接殺すと目立ちすぎる。
やはり二人目の佐藤を殺したみたいに、【呪殺】モードだろうか。
ただ、どうせならこの場で奴を止め、さらに殺しておきたい――。
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