5 『呪殺』モードと第二の殺人
――術者の意志を確認しました。『呪殺』モードを使用します。
頭の中で声が響いた。
「えっ?」
同時に、佐藤の首元に黒いシミのようなものができた。
それは徐々に広がっていき、首筋全体を覆っていく。
「うわぁ!?」
佐藤は慌てた様子で、俺の胸倉から手を離した。
「なんだこれ!? 東雲、お前の仕業なのか!」
佐藤が悲鳴を上げる。
「知るかよ」
嘲笑する俺。
「な、なんなんだ、くそっ、取れねぇ……」
佐藤は首元を何度も手でこすっているが、黒い染みは消える気配がない。
奴が慌てふためく様子が楽しくて仕方がなかった。
「なんだよこれぇ……」
佐藤は悲鳴を上げながら去っていった。
医務室にでも行ったんだろうか……?
その後は、他のいじめっ子はおとなしくしていた。
さすがに田中の死でショックだったんだろうか。
佐藤の異変で、俺に手を出すのが怖くなったんだろうか。
どちらにせよ、昼休みを終えてからは平穏な学園生活だった。
学校が終わった後は、普通に家に帰り、ゆっくり寝て、そして翌日――。
登校した俺は、そこで一つの情報を知った。
「佐藤が……昨日の晩に死んだってよ」
教室で、誰かが噂をしていた。
俺はそれを聞いて、思わず笑みを浮かべた。
「いきなり息ができなくなったとか、なんとか」
「すごい苦しんで死んだらしいな……こえぇ」
「なんか呪いみたいな話だぜ」
呪いか……その通りだよ。
呪殺モードとか言ってたな。
まさにその通りの殺し方を達成したわけだ。
あの声はなんだろう?
俺に力を与えてくれた神様とは違う声だった。
もっと平板で機械的な声。
まるで、そう――システムメッセージのようだ。
今回は俺も警察から事情聴取を受けなかった。
というか、病死として扱われるっぽい。
とりあえず一安心だった。
別に俺がやったという証拠はないんだけれど、やっぱり警察に話を聞かれるのはいい気分がしない。
俺が犯人だと警察がたどり着く可能性はゼロパーセントのはずだ。
それでも――いい気はしない。
ともあれ、残るいじめっ子の中心メンバーはあと三人――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます