第37話
「ふっ……!!アハハハ」
「……!?」
「確かに!その通りだね……!君、最高だよ」
訳の分からない反応に冷や汗は止まったものの、何故爆笑されているのか分からないままヘラリと笑みを浮かべていると……。
「ーーーーリロイ!!キャロラインッ!!」
「げっ、お兄様……!」
「あーあ、もう時間切れだ」
アッサリと引いたリロイが何をしたかったのか分からずに謎が深まった所で、慌てた様子で此方に向かって走ってくるベルジェとモイセスの姿があった。
するとリロイは「怒っているところ申し訳ないんだけど、そこに並んでくれる?」と言われて訳も分からないままルビーと横に並べられる。
そのまま「少し手を貸してね」と言ったリロイはルビーの手を握る。
「リロイ、様……?」
「リロイ……!ルビー嬢に何を!?」
「まぁまぁ、兄上。そんな怖い顔ばっかりしているとルビー嬢に怖がられちゃうよ?」
リロイがそっとルビーの手の甲に唇を寄せる。
それと同時にモイセスの眉がピクリと動いた。
キャロラインはパクパクと口を開いたり閉じたりを繰り返している。
ルビーは困った様子で此方と向こうの様子を交互に見ている。
「次は……ジュリエット嬢、お手を失礼」
「!?」
反射的に手を引っ込めようとすると、リロイは仕方ないなと言わんばかりに腰に手を回した。
ゾワリとした感覚に動きを止めた後、先程とは全く違い、優雅に手を持ち上げて挨拶するように手の甲に唇を寄せようとするリロイの姿を見たベルジェの表情が変わる。
「ーーーッ!?!?」
「あー……!なるほどね!二人共、協力ありがとう」
「離してくださいッ!!」
「ジュリエット嬢は照れ屋だなぁ、こんなのは挨拶だろう?」
ブンブンと手を縦に振りながら振り払おうとするものの、リロイが掴んでいる手首はビクともしない。
「っ、怒りますよ!?」
「はは、ごめんごめん!でも二人の協力のお陰で面白いものがみられたから良かったよ」
にっこりと満足そうに笑ったリロイを見ながらも、ルビーと目を合わせた後に困惑していた。
「フフッ、なんかおかしいと思っていたんだよね。やっぱり僕の予想通りだったよ!」
「え……?」
「気にしないで、こっちの話だから」
そのまま再びリロイに背後から抱きつかれて『もう言葉はいらねぇ』と悟って拳を振り上げようとした時だった。
「ーーーリロイッ!!」
リロイの首根っこを思いきり引いたベルジェは、ジュリエットの体を守るように抱き締めて引き寄せた。
先程のような嫌悪感は一切ない事に驚いていた。
本人は必死で気付いていないようだが、腕には力がこもっている。
いつもニコニコと笑っていて冷静なベルジェからは想像出来ない、荒々しくも雄々しい彼の姿を見て、何も言えずに黙っていた。
キャロラインは驚きつつも口元を押さえて、ルビーもベルジェのいつもと違う様子にびっくりしているようだ。
「リロイ、いい加減にしろ!!悪ふざけが過ぎるぞっ!!?」
「お、お兄様……?」
「すまない……ジュリエット嬢。不快な思いはしていないか?」
「え……っと」
「ねぇ、ベルジェ……」
「……なんだ」
「怒っているところ申し訳ないんだけど…………ジュリエット嬢が苦しそうだけどそのままでいいの?」
ベルジェが此方に顔を向けたのと同時に、視線が交わる。
見上げるような形でベルジェを見ていると、目視できるほどに顔がカッと赤くなっていくのが分かった。
「~~~ッ!?!?」
その後、ガバッと音を立てて体を離したベルジェは手と首をブンブンと振りながら後退していく。
「違ッ……こ、これは!ジュリエット嬢……っ、すまない!!」
「いえ…………」
「触れるつもりはッ!抱きっ……ゴホッ、ゴホン!!」
「……」
そのまま崩れ落ちるように椅子にぶつかって尻餅を付いたベルジェを見て、キャロラインも何かを察したようだ。
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