第四話 おばあちゃんとの思い出
①約束
――って、言ったのに!
学校が終わると、真人くんは「待っていました」と言わんばかりに私を待ちぶせをしていた。
「同じクラスだから待っていなくてもいいのに」
「同じクラスだからだろ」
なぜかぶっきらぼうに真人くんは言うけれど、私は全然真人くんの言葉の意味が分からない。
――いや「同じクラスなのだからわざわざ待ちぶせをしなくてもいいんじゃ」って意味だったんだけど。
どうやら真人くんには真人くんなりの『事情』というモノがあるらしい。
――別にいいけど。
真人くんが私を待ちぶせしていた理由はすぐに分かったし、約束まではしていなくても、何となく「いつかはするんだろうな」と思ってはいた。
──でも、まさか本番が終わってすぐだとは思わなかったけど。
正直、今年中だとは思ってもいなかった。
「……」
「……」
あともう少しで学校も終業式を迎えて冬休みに入る。
「そう言や冬休みの時は家の人。いるのか?」
「……」
──我ながらおかしな話をしている様な気がする。
多分、普通であれば「冬休みはどう過ごす」とかそういった話をすると思う。
──でも、それ以前の話だよね。コレ。
それを思うと、思わず笑いそうになる。
「うーん、どうだろう」
「……」
私がそう答えると、真人くんは「そうか」とだけ言った。
「?」
そう答えたの真人くんの顔は見えなかった。でも、何となく「後悔」の文字が見えた様な気がした。
多分、真人くんとしては「その時くらいは……」と思ったのかも知れない。
──もしそう思ったのなら、申し訳ないかも。
でも事実なのだから仕方がない。
「そっ、そういや」
「?」
「この間言っていた舞の話なんだけどよ」
「舞の話……ああ」
──この間って。
真人くんが言っている事は分かる。でも、この話は「この間」どころか「昨日」の話だ。
その事に気がついて私は思わずは小さく笑ってしまってしまうと、真人くんは「なんだよ」とふてくされた。
「なんで舞を教えてもらったんだ?」
真人くんは気を取り直して私に尋ねた。
「お、おばあちゃんと話をしていて『伝統の舞』があるって聞いて」
私はおばあちゃんから「伝統」と言葉を聞いて、言葉の意味は分からずとも「何かすごい」という事だけは分かった。
「それで教えて欲しいっておばあちゃんに頼み込んだ」
そして、おばあちゃんから教えてもらったモノと真人くんがしていた舞が少し違う事に気がつき。
「それで元々は二人でやるものなんじゃないかって思ったワケか」
そう真人くんに言われ、私は小さくうなずくと……ちょうど真人くんの家に着いた。
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