第ニ話 予想外なハロウィン
①知らぬ間にイベント
そして次の日。学校に行くと、先生たちだけでなく既に呼び出しをされていた親たちにお説教をうける事になった。
「まぁ、当然だな」
真人くんが言うには、私が倒れた後。取りついていた男子も突然『ついていたモノ』がいなくなった事が関係しているのか……詳しくは分からないけれど、その場で倒れてしまい、救急車を呼ぶ事態になってしまったらしい。
「お前……向井は、突然襲われた事による気絶だって俺も兄さんも分かっていた。ただ、あいつは……どういった影響があるか分かったもんじゃなかった」
どうやらいつもは御札で祓えていた事もあり、ああいった事態は初めてだったらしい。
「で、向井はあの後。大丈夫だったか」
「え? うん」
――特に何も。
あの後、お兄さんから「やっぱり親御さんが心配するだろうから」という事で家まで送ってもらった。
――お兄さんは「何か言われるんじゃ」って心配していたみたいだけど。
しかし、お父さんもお母さんもまだ帰っていなかったから特に何も問題はなくそのまま寝た。
――正直、私の親も呼び出されると思ったけど。
どうやらクラスメイトたちから『度胸試し』の話を聞いて事態を重く見た先生たちが男子たちの親を呼んだらしい。
「はぁ……全く人騒がせなヤツらだ」
「ははは」
こうして、男子たちのお騒がせな『度胸試し』は……けが人を出す事もなく、ちょっとしたお説教をされるという事で終わりを迎えたのだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「♪~」
休日。特にやる事もなかったので何気なく自転車に乗っていると。
「??」
商店街やショッピングセンターでやたらと黒やオレンジ色が目についた。
――後は……ちょっとむらさき色もあるのかな?
そろそろ肌寒くなってきて、厚手の上着をいつ出そうか迷う時期に入ってきている……けれど、私としてはそれくらいの実感しかない。
「……」
――何かイベント……なのかな、うーん。
転校生の東条真人くんと義理のお兄さんである東条優人さんが引っ越して来て早くも一ヶ月が経とうとしている。
「……」
お兄さんである優人さんとは学校に行く前の集団登校の集合場所で偶然声をかけられたのがきっかけだったけど、元々はお兄さんは私のおばあちゃんを訪ねて来たらしい。
でも、おばあちゃんは既に亡くなっていた。
――結局。おばあちゃんとお兄さんってどんな関係だったのかな。
お兄さん曰く「師匠と弟子」といった関係だったらしいとは聞いているけれど、どういった事をしていた……などの詳しい話は聞いていない。
――でも、きっと『黒いカタマリ』に関連があるんだよね。
「あれ」
――というか、真人くんのお父さんとお母さんに会ってないし……というか。
思い返して見ると、この間の『度胸試し』の一件の時に自分の家に帰る前に見た玄関に、真人くんとお兄さん以外の靴は……なかった。
「……」
私のお父さんもお母さんもいつも仕事で家を空けている事が多く、少なくとも「普通」とは違うと思う。そしてそれを他の人に色々と言われたくないという気持ちはある。
――どこの家族もそれぞれって事か。
そう思いつつショッピングセンターの駐輪場に自転車を止めて中に入ると……。
「……おお」
そこには『ハッピーハロウィン!』と書かれた段幕とおばけのバルーンにカボチャ……の上に黒い魔女の帽子が被らされている。
――そっか、ハロウィンか。
元々こういったイベントにはあまり興味があるタイプではないけれど、周りの少しはしゃいでいる雰囲気は……嫌いじゃなかった。
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